知名度ゼロでも選ばれる会社の共通点|1,500社でわかった採用ブランディングの技術

知名度ゼロでも選ばれる会社の共通点|1,500社でわかった採用ブランディングの技術

本記事は、NewsPicks Brand Design主催のイベント「『広報の成果』はどうつくる? 1,000社の現場から見えた、循環をはばむ4つの壁 攻略法」(2026年10月22日開催)に深澤了が登壇した際の特別資料「1,500社以上を見てわかった、知名度ゼロから、選ばれる会社の共通点」をもとに、本人が記事として書き起こしたものです。イベントの詳細は登壇告知ページをご覧ください。

知名度ゼロでも選ばれる会社には、1つの共通点があります。母集団の「数」を追うのをやめ、共鳴の「質」で、ほしい同志を口説いていることです。採用の成否を分けるのは会社の規模ではなく、採用ブランディングをやり切れているかどうかです。これは、私たちが全国465名の経営者に行った調査でも、統計的に実証されています。

この記事の目次

  1. なぜ、知名度のない会社には応募が集まらないのか
  2. 母集団を増やしても、ほしい人が採れないのはなぜか
  3. 規模が小さいから採れない、は本当か
  4. 大手と同じ土俵で、毎年消耗していないか
  5. 自社の強みが、応募者に伝わる言葉になっていないか
  6. 「いい会社ですね」で終わり、辞退されていないか
  7. 給与と休日でしか、自社を語れていないか
  8. 理念を掲げても、採用も事業も動かないのはなぜか
  9. 毎年、同じ採用の失敗を繰り返していないか
  10. よくある質問(FAQ)
  11. まとめ|明日から、何を変えるか

自社の採用が母集団集めの消耗戦になっていないか、一度立ち止まって見直したい経営者・人事の方は、まず無料相談をご利用ください。1,500社以上の実践知から、最短の一手をお伝えします。

なぜ、知名度のない会社には応募が集まらないのか

採用の成否を分けるのは会社の規模ではなく、採用ブランディングをやり切れているかどうかです。多くの会社は、できているつもりで止まっています。

採用領域だけで、むすびはこれまで1,500社以上の採用と組織の課題に向き合ってきました。そこで見えてきたのは、採れる会社と採れない会社を分けているものが、知名度でも、給与でも、会社の規模でもないという事実です。分かれ目は、たった1つ。「集める」のをやめ、ほしい同志を「口説く」側に立てているかどうかです。

補足。本記事でいう「1,500社以上」は、むすび株式会社としての支援社数です。このうち「1,000社以上」は、私個人がこれまで採用領域で直接向き合ってきた社数にあたります。個人の実践知に、むすびという組織として積み上げてきた支援を足した数が、1,500社以上です。

これまでの採用は、母集団至上主義でした。とにかく母集団を増やす。給与や休日のスペックで勝負する。大手と同じ土俵のレッドオーシャンで戦う。しかしこの発想では、母集団を増やすほど、自社に合わない応募が増えていきます。予算と労力は毎年増え続け、採用はどんどん非効率になります。

これからの採用、つまり採用ブランディングは、発想を反転させます。共鳴の「質」で、ほしい同志を口説く。自社の歴史と哲学に眠る「物語」で勝負する。大手とは別の、自社だけの土俵をつくる。すると、その年から母集団の「質」そのものが変わります。知られていない価値は、存在しないに等しい。だからこそ、埋もれた本物の物語を発見し、届くべき同志にだけ正しく届けることが、採用ブランディングの核心です。

母集団を増やしても、ほしい人が採れないのはなぜか

人は、高い安いで動くわけではありません。歴史と物語こそが、最も強く人を動かします。これは私の実感ではなく、統計解析が示した事実です。

全国のビジネスパーソンを対象にした私たちの調査では、人が企業の「ファン」になる理由を重回帰分析しました。最も強い因子は、安さではありませんでした。歴史・文化・背景・由来、すなわち「物語」です。その影響度はβ=.619で、安さ(β=.130)を大きく上回っていました。安く売ることで集まる人は、より安い条件が出れば離れていきます。物語で集まる人は、簡単には離れません。

採用の局面でも同じ構造が働きます。採用時に理念へ共感して入社した人ほど、入社後も共感が続き(β=.762)、活躍・貢献・使命の自覚にまで波及していました。つまり、入口で理念に共鳴した同志を迎え入れることが、その後の定着と活躍のすべてを規定するのです。

そしてもう1つ、採用難の時代にあえて指摘したい不都合な真実があります。共鳴も、働くことを通じたウェルビーイングも、年収では説明できませんでした。各因子と年収の間に、意味のある相関は見られなかったのです。賃金競争に踏み込んでも、人の心は買えません。向き合うべきは、賃金ではなく、従業員との質的な関係性です。

これらのデータの出典は、「共鳴経済の概念化と構造モデル」「幸福を超える目的の共鳴」(いずれも日本マーケティング学会 2025-2026)です。感覚ではなく、実証に基づいて採用を設計したい方は、採用ブランディングの新潮流「共鳴経済」もあわせてご覧ください。

規模が小さいから採れない、は本当か

採用の成否を分けるのは、会社の規模ではありません。採用ブランディングをやり切れたかどうかです。やり切った上位層だけが、計画どおりに採れています。

私たちは、むすびが掲げる21の基準を設問化し、過去にむすびがサポートしていない全国の企業の経営者465名と、採用に関与している社員200名にアンケート調査を行いました。むすび全国採用実態調査2026です。見えてきたのは、採用ブランディングの実践度の全国平均が、5点満点でわずか2.82だという現実でした。とくに下流、つまり設計と検証の工程が弱く、ここが最大の伸びしろになっていました。

さらに深刻なのは、約3割の経営者が「採用に課題はない」と答えている点です。ところが、同じ回答をした現場の社員は約15%にとどまりました。「課題なし」という認識こそが、最大の死角です。「人事以外の協力がない」と答えた割合も、経営者5.1%に対し現場は13.7%と、現場のほうが8.6ポイント高く出ました。採用を人事任せにしていることが、詰まりを生んでいます。

売上規模を統計的に統制してもなお、計画達成を左右する最大の要因は実践度でした。実践をやり切った高群の計画達成率は、新卒71.4%、中途63.8%。一方、実践が弱い低群は、新卒24.2%、中途25.0%にとどまりました。その差は、新卒で47ポイント、中途で39ポイントです。業種・地域・会社規模に関係なく、成果を決めているのは実践度でした。これは統計的に実証された事実です。

全国465名調査でわかった「最も効くのに、やれていない」要点は、母集団を増やしても採れない|最も効くのに、やれていない5項目【経営者465名調査】で詳しく解説しています。

大手と同じ土俵で、毎年消耗していないか

勝ち筋を生むのは規模ではなく、やり切りです。母集団の「量」ではなく、共鳴の「質」で戦う。そのための独自の土俵を、私は「ビクトリーゾーン」と呼んでいます。

ビクトリーゾーンとは、自社の強み(縦軸)と、ほしい同志が大事にすること(横軸)を2軸でとり、その2軸が交わる「右上」の領域を指します。ここが、あなただけの土俵です。この交点でコンセプトをつくれば、大手とのレッドオーシャンから抜け出せます。大手と同じ軸で、条件と知名度を競う必要はありません。自社だけの基準で一番になればいいのです。

中小企業にこそ、勝ち筋があります。先ほどの465名調査では、採用ブランディングの実践度が1段階上がるごとに、採用成功のオッズが新卒で3.1倍、中途で2.4倍に高まっていました。そして、採用成功を左右する力は、実践度のほうが会社の規模より圧倒的に大きいという結果でした(実践度β=.53に対し、規模β=.17)。規模の小ささは、採用で不利になる理由にはなりません。

自社の強みの見つけ方からコンセプト設計までは、中小企業の採用ブランディング完全ガイドで手順を追って解説しています。

自社の強みが、応募者に伝わる言葉になっていないか

コンセプト化は、感覚ではなく「順番」です。超理想を描けるかどうかが、成否を分けます。私たちは、次の6つのステップで、強みを刺さる言葉に翻訳します。

  1. 全社横断でチームを組む。 採用は人事任せにしません。社長が旅の先頭に立ちます。
  2. 強みを、とことん信じる。 弱みは隠さず、伝え方を工夫します。自社の強みを疑っているうちは、誰にも伝わりません。
  3. ペルソナは「超理想」を描く。 現実的な設定は、現状の延長にしかなりません。本当に来てほしい一人を、実在の人物のように描きます。
  4. インサイトを考え抜く。 その人が、本当に満たしたい想いは何か。表面的な希望ではなく、奥にある動機まで降りていきます。
  5. 強みは3つに絞り、かけ合わせる。 3つのかけ算が、他社には真似できない独自性を生みます。全部言うのは、何も言わないのと同じです。
  6. コンセプトを採用の命にする。 すべての接点を、一つの思想で貫きます。求人原稿も、面接も、内定者フォローも、同じコンセプトで判断します。

強みを3つに絞り込む作業は、ほとんどの企業が最初につまずくところです。「人が集まる中小企業の経営者が実践している、すごい戦略 採用ブランディング 新版」(WAVE出版)でも詳しく書きましたが、絞り込めない理由は、情報が足りないからではありません。捨てる基準を持っていないからです。
https://www.musubi-inc.co.jp/musubi-books/saiyou-branding-sugoi-senryaku-2024

6ステップのどこで止まっているかを自社だけで見極めるのは難しいものです。コンセプト設計の順番でつまずいている、強みを3つに絞り切れないという方は、無料相談でお聞かせください。1,500社以上の実践知から、貴社の伸びしろをお伝えします。

「いい会社ですね」で終わり、辞退されていないか

共感は「いいですね」で戻ってきます。共鳴は「探していた言葉だ」で、人生ごと巻き込まれます。採用で狙うのは、共感ではなく共鳴です。

共感と共鳴は、似ているようでまったく違います。共感は、頭で「いいですね」とうなずく状態です。その場かぎりで、やがて元に戻ります。一方の共鳴は、「これは自分の話だ」と心が動き、人生ごと巻き込まれる状態です。一度共鳴が立ち上がると、もう元には戻りません。不可逆です。採用で欲しいのは、条件を比べて選ぶ候補者ではなく、「この会社でなければ」と思う同志です。

共鳴は、3つの層で立ち上がります。第1に意味、つまり「この仕事に意味があるか」。第2に感情の揺れ、つまり「心が動く瞬間があるか」。第3に物語との一体化、つまり「これは自分の話だ」と思えるか。この3層が重なったとき、候補者は会社の物語の登場人物として、自分を位置づけ始めます。

この「共鳴が価値を生む」という経済観を、私は共鳴経済と名づけました。理念への共鳴で価値が生まれ、社員・顧客・応募者が自ら応援して成長していく経済圏です。共鳴を生むのは、歴史・理念・デザイン・品質・体験価値の5要素です。そして、その共鳴度を数値化し、自社の位置を見える化する指標が、共鳴偏差値®です。感覚に頼らず、共鳴を「測る」ことができます。

共鳴経済の全体像は、共鳴経済とはで定義と構造モデルをまとめています。

給与と休日でしか、自社を語れていないか

給与・休日のスペックではなく、歴史と哲学の「物語」で口説く。この翻訳は、4つの問いで進みます。

この4つの問いを順にくぐらせると、ありふれた条件の羅列が、その会社にしか言えない一行に変わります。

理念を掲げても、採用も事業も動かないのはなぜか

理念を「会社の主語」に置いた会社は、採用も事業も伸びています。変えたのは、規模でも業種でもありません。スペックを語るのをやめ、理念を主語にした、一行の物語でした。

共通していたのは、スペックを語らず、理念を会社の主語に置いたことです。これらの事例の背景にある共鳴の構造は、「共鳴経済 社員が"推す"会社が伸びる」(サンクチュアリ出版)に詳しく書きました。
https://www.musubi-inc.co.jp/musubi-books/kyomei-keizai

業種別の事例をもっと見たい方は、採用ブランディング成功事例10選をご覧ください。

毎年、同じ採用の失敗を繰り返していないか

壁を越える企業と、毎年挫折する企業。その差は、才能でも運でもありません。次の6つの選択で、どちらに立つかだけです。

毎年、挫折する企業 壁を越える企業
母集団の「量」を追う 共鳴の「質」で口説く
給与・休日のスペックで勝負 歴史と哲学の「物語」で勝負
採用は人事任せ 社長が旅の先頭、全社横断
大手と同じ土俵で消耗 自社だけの土俵をつくる
単発の施策、毎年やり直し コンセプトで一貫、翌年に積み上がる
「やった気」で止まる 凡事徹底で、やり切る

左から右へ立ち位置を移すだけで、採用は変わります。とくに最後の1行、「やった気」で止まるか、凡事徹底でやり切るか。ここが、全国平均2.82という実践度の低さと、計画どおりに採れている上位層との分岐点です。差を生むのは、特別な才能ではなく、当たり前のことをやり切る覚悟です。

なぜこの分岐が生まれるのか、上流をやり切る意味については採用の上流を精度高くやり切ると、下流は勝手に差別化されるで掘り下げています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 知名度ゼロの中小企業でも、本当に選ばれる会社になれますか。
なれます。むしろ中小企業にこそ勝ち筋があります。465名調査では、実践度が1段階上がるごとに採用成功のオッズが新卒3.1倍、中途2.4倍に高まり、採用成功を左右する力は規模よりも実践度のほうが大きいという結果でした。大手と同じ土俵で条件と知名度を競わず、自社だけの土俵をつくれば、規模の小ささは不利になりません。

Q2. 母集団を増やす採用の、何が問題なのですか。
母集団を増やすほど、自社に合わない応募が増え、選考の負担と費用が毎年膨らみます。しかも、条件で集めた人は、より良い条件が出れば離れていきます。狙うべきは数ではなく、共鳴の質です。理念に共鳴した同志が集まれば、母集団の質そのものが変わります。

Q3. 共感と共鳴は、どう違うのですか。
共感は「いいですね」と頭でうなずく状態で、その場かぎりです。共鳴は「探していた言葉だ」と心が動き、人生ごと巻き込まれる状態で、不可逆です。採用で狙うのは、共感ではなく共鳴です。意味・感情の揺れ・物語との一体化という3層が重なったとき、共鳴が立ち上がります。

Q4. 年収を上げれば、採用はうまくいきますか。
賃金だけでは解決しません。私たちの調査では、共鳴も働くことを通じたウェルビーイングも、年収では説明できませんでした。賃金競争は資本力のある企業が勝ちます。中小企業が向き合うべきは、賃金ではなく、物語とつながりという意味的価値、つまり従業員との質的な関係性です。

Q5. 何から始めればよいですか。
まず、採用を人事任せにせず、社長が旅の先頭に立つと決めてください。そのうえで、現場社員3人に「自社の強みを自分の言葉で語れるか」を聞いてみてください。語れないなら、それが最初の伸びしろです。自社の実践度を21項目で客観的に把握したい場合は、記事末尾の採用力チェックシートをご活用ください。

まとめ|明日から、何を変えるか

採用ブランディングは、その年の採用から効きます。そして、経営そのものの、最も効率のよい入口になります。最後に、明日から自問したい3つの問いを置いておきます。

  1. 母集団の「数」を追っていないか。狙うのは、共鳴の「質」です。
  2. スペックで語っていないか。自社の「物語」を、一行にできるか。
  3. 採用を人事任せにしていないか。社長や役員レベルが、旅の先頭に立てるか。

この3つに「できている」と胸を張れないなら、そこが伸びしろです。知名度ゼロでも選ばれる会社は、特別な会社ではありません。当たり前のことを、やり切った会社です。

なぜむすびのブランディングは成功するのか。そのメカニズムを知りたい方は、弊社説明ページをぜひご覧ください。
https://www.musubi-inc.co.jp/musubi-resonance-branding/recruitment-branding

結果がでるブランディングの成功事例はこちらをご覧ください。
https://www.musubi-inc.co.jp/musubi-resonance-branding/projects

共鳴ウェルビーイングサーベイで、自社の強みや弱みを知りましょう。
https://www.musubi-inc.co.jp/musubi-resonance-branding/wellbeing-survey

採用がうまくいく会社といかない会社を分けるのは、「21の法則」という成功法則を実践しているかどうかです。465名調査で全国平均は5点満点で2.82でしたが、むすびのクライアントは4.5以上に届き、だから採用に成功します。「採用ブランディング21の法則」で貴社の採用を21項目・5段階で診断する採用力チェックシート、平均4.0以上が「ほしい人材」を獲得できる水準です。お申し込みいただければ、結果を必ずフィードバックします。
https://forms.gle/1tod6cQ3MKo76djj8

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著者プロフィール

深澤 了 Ryo Fukasawa
むすび株式会社 代表取締役
ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター
早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年むすび設立。地域ブランディングプロジェクト「まちいく事業」を立ち上げ、山梨県富士川町で開発した「甲州富士川・本菱・純米大吟醸」はロンドン、フランス、ミラノで6度金賞受賞。制作者としての実績はFCC(福岡コピーライターズクラブ)賞、日本BtoB広告賞金賞、山梨広告賞協会賞など。学術論文8編(査読付き)。雑誌・書籍掲載、連載多数。著書は「無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング」(幻冬舎)、「知名度が低くても"光る人材"が集まる 採用ブランディング完全版」(WAVE出版)。「どんな会社でもできるインナーブランディング」(セルバ出版)。「人が集まる中小企業の経営者が実践している、すごい戦略 採用ブランディング 新版」(WAVE出版)。国立大学法人富山大学とウェルビーイングに関する共同研究「幸福を超える共鳴」。2025年、新理論「共鳴経済」を日本マーケティング学会にて発表。2026年「共鳴経済 社員が"推す"会社が伸びる」(サンクチュアリ出版)を刊行。