【旅館】さかえや:採用0名から、内定10名へ。渋温泉の老舗旅館の採用ブランディング事例
長野県・渋温泉の老舗旅館さかえやは、数百万円を投じても新卒採用0名という状態から、採用ブランディングで強みを言語化し、2泊3日のインターンを軸にした採用フローへ作り替えました。その結果、内定枠5名に対し内定10名を出し、目標の5名を採用しています。都市部から遠い立地の旅館でも、設計次第で新卒が採れることを示す事例です。ここでは、その取り組みの中身と効果を紹介します。
この事例のポイント
- 24卒は数百万円を投じても採用0名。翌々年の26卒は内定枠5名に対し内定10名を出し、5名採用で目標を達成した
- 立地の不利を、広告で母集団を広げる発想から、来た学生を深く惹きつける発想へと転換した
- 付箋ワークで自社の強みを20以上洗い出し、接客や気遣いといったソフト面の独自性を言語化した
- 「1つでも欠けたら見送る」絶対の採用基準を5つに絞り、社内の共通言語にした
- 1次選考を2泊3日のインターンにし、現地で一緒に働きながら互いを見極める「選び、選ばれる」フローを作った
目次
- 課題:数百万円を投じても新卒0名
- やったこと1:付箋ワークで強みを20以上言語化する
- やったこと2:絶対に譲らない採用基準を5つに絞る
- やったこと3:Uターン×チームワークの「超理想」ペルソナを描く
- やったこと4:強みとインサイトをぶつけてスローガンをつくる
- やったこと5:2泊3日のインターンで「選び、選ばれる」フローに
- 効果:採用0名から、内定10名・5名採用へ
- よくある質問(FAQ)
課題:数百万円を投じても新卒0名
かつては採用できていたのに、それが再現できない。さかえやが直面していたのは、そんな状態でした。
さかえやは長野県・渋温泉に立つ、昭和2年創業でまもなく100周年を迎える約30名の老舗旅館です。最寄りは湯田中駅、長野駅から北へ約60分。冬は猿が温泉に入る「スノーモンキー」で知られる地域にあり、都市部から遠い立地の難しさを抱えていました。周囲の旅館が新卒採用をやめていく時代にも、同社は新卒採用を続けてきた会社です。
それでも近年は成果が出ませんでした。採用ページ1枚とキーワード広告に投資しても新卒は集まらず、学生インタビュー動画を量産してLINEやInstagramに広告を出しても応募につながらない。費用ばかりがかさみ、24卒では年間数百万円を投じて採用0名(内定1名を出すも承諾に至らず)という結果に終わります。かつてうまくいっていた理由が自分たちでも分からなくなっていました。必要だったのは「人手を採用する」から「採用で会社が強くなる」への発想転換です。社長が著書『採用ブランディング』を読んで問い合わせたことが、取り組みの起点になりました。
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やったこと1:付箋ワークで強みを20以上言語化する
採用ブランディングではまず、自社の強みを徹底的に洗い出しました。
付箋ワークで社員が思いつく強みを書き出し、20以上のグループに整理します。すると、接客や気遣い、情報共有といったソフト面に、他社にはない独自の強みが数多くあることが見えてきました。「優しくなれる宿」というコンセプトを掲げ、お客様が優しくなって帰る、そのために自分たちも優しい人間であろうとする。この理念経営そのものが、言葉にすれば採用の武器になる。まずはその原石を全員で掘り出す作業からでした。
やったこと2:絶対に譲らない採用基準を5つに絞る
次に、誰を採るかの基準を明確にしました。
当初は7つあった採用基準(マスト条件)を、議論を重ねて5つに厳選します。これは「1つでも当てはまらなければ見送る」という絶対の基準です。数を追って基準を緩めれば、理念に合わない人が入り、現場がすり減ります。逆に基準を全員で共有すれば、面接官によって判断がぶれることもなくなる。この5つの基準は単なる採用の物差しを超え、社内の共通言語・共通の価値観になりました。何を大切にする会社なのかを、採用を通じて社員全員が再確認したのです。
やったこと3:Uターン×チームワークの「超理想」ペルソナを描く
採用したい人物像(ペルソナ)は、あえて高く設定しました。
描いたのは、長野へUターン就職を考え、チームワークを大切にする学生像です。しかも「その学生が併願する競合」を、旅館や観光業だけでなく、大手リゾートやブライダル業まで含む超理想として設定しました。競合の目線を高く保つほど、メッセージは尖ります。地方の小さな旅館だからと目線を下げるのではなく、大手と並んで選ばれる前提で設計する。そうすることで、伝えるべき魅力の軸がはっきりしました。
やったこと4:強みとインサイトをぶつけてスローガンをつくる
言語化した強みは、学生の心理と結びつけてメッセージに落とし込みました。
学生が就職活動で大事にする上位3つのインサイトを起点に、洗い出した20超の強みから最もふさわしいものを1つずつ「ぶつけて」、コンセプト文を全員で作成します。それを磨き上げ、「奥信濃、世界へ届け、日本のおもてなし」という採用スローガンに仕上げました。地域の魅力と自社のおもてなしを重ね、世界へ向かう志を1行に込めた言葉です。スローガンは説明会の名称をはじめ、採用のさまざまな場面で使う軸になります。作って終わりではなく、社員が自分たちの言葉として語れるまで全員で合意したことが、その後の一貫性を支えました。
強みと学生インサイトを結び、ぶれない採用の軸をつくる。その言語化をむすびが伴走します。
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やったこと5:2泊3日のインターンで「選び、選ばれる」フローに
最も特徴的だったのは、採用フロー全体を「選び、選ばれる」という一貫した思想で作り替えたことです。
入り口はWebの会社説明会(約1時間)。情報を20分、感動エピソードを20分、そのうえで次のステップの紹介と質疑を行います。説明会の後には旅館甲子園の動画を見てもらい、A4の感想文を提出してもらう。ここで志望度を確かめます。1次選考は2泊3日のインターンシップです。現地で一緒に働き、旅館の仕事を体験してもらう。最終選考は1泊2日で、ワークや課題、面接に加え、夕食で自社のおもてなしそのものを体験してもらいます。
面接では測れない「行動」を見る仕掛けも用意しました。マッチ棒クイズやテーブルの配置替えの手伝いなどを通じて、助け合いや貢献の行動が自然に出るかを観察します。説明会動画は学生一人ひとりを名前で呼ぶために、都度録画し直す徹底ぶりでした。この2泊3日を支えたのは、プロジェクトメンバー5名だけではありません。事業の価値観が統一されているため、それ以外の社員も自然に協力し、現場全体で受け入れる体制が早くから立ち上がりました。
効果:採用0名から、内定10名・5名採用へ
取り組みの結果、成果は数字にはっきり表れました。
導入前の24卒は数百万円を投じて採用0名。採用ブランディングを確立した26卒では、内定枠5名に対して内定10名を出し、5名を採用して目標を達成しました。続く27卒では、1次選考のインターンに16名が参加し、2次選考へ8名が進出。前年の同時期と比べて約2倍の反応で、採用費用は年々削減できています。母集団を広告で無理に広げる採用から、来てくれた学生を深く惹きつける採用へ。費用対効果は大きく改善しました。
成果を生んだ要因は3つあります。1つ目は、議論した内容を素直に、丁寧に実行しきったこと。2つ目は選択と集中で、月4本の動画制作提案(約180万円)のような不要な施策を見送り、やるべきことに絞ったこと。3つ目は社内の巻き込みが抜群だったことです。事業の価値観が統一されているからこそ、協力が自然に生まれる。立地の不利を、設計と実行力で越えた事例です。
母集団を広げるより、来た学生を深く惹きつける。その採用設計をむすびが伴走します。
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よくある質問(FAQ)
Q. さかえやはどんな旅館ですか。
A. 長野県・渋温泉に立つ、昭和2年創業でまもなく100周年を迎える約30名の老舗旅館です。「人の縁に育まれ、人の縁を育む」を理念に、「優しくなれる宿」をコンセプトに掲げています。
Q. なぜ以前は採用がうまくいかなかったのですか。
A. 都市部から遠い立地で、オンラインの説明だけでは魅力が伝わりにくかったためです。採用ページや動画広告に投資しても応募につながらず、24卒では数百万円を投じて採用0名という結果でした。
Q. どんな成果が出ましたか。
A. 採用ブランディングを確立した26卒で、内定枠5名に対し内定10名を出し、5名を採用して目標を達成しました。27卒でも1次選考への参加者が前年同時期の約2倍に伸び、採用費用は年々削減できています。
Q. 2泊3日のインターンを1次選考にするのはなぜですか。
A. 現地で一緒に働くことで、学生は仕事のリアルを体験でき、会社は面接では測れない「行動」を見られるためです。互いに見極める「選び、選ばれる」関係をつくることが目的です。
Q. 立地が不利でも採用ブランディングは効果がありますか。
A. あります。広告で母集団を広げる発想から、来てくれた学生を深く惹きつける発想へ転換することで、都市部から遠い旅館でも新卒採用を実現できました。詳しくはお問い合わせください。
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