【定期的実験レポート】主要AI系メディア8サイトにトラフィックをもたらしたキーワード26年8月分を中心にCLAUDE Fable5.1に分析させてみた。
AI系メディア キーワード動向分析レポート(2026年8月)
1. 分析サマリー
本レポートは、AI系メディア群(392サイト・日本)のSimilarWeb検索キーワードデータ30,580件から抽出したファインディングスと、そこから読み取れる市場の洞察および今後の見通しをまとめたものである。うちAI関連のキーワードは15,294件で、トラフィック全体の62.6%を占める。
2026年8月は、関心の総量が過去最高を更新しながら、伸び方がはっきり鈍った月だった。AI関連キーワードの月間検索ボリュームは6,169万件で12ヶ月前の1.82倍だが、前月比は+3.9%にとどまる。6月から7月への伸びが+19.1%だったことを考えると、明確な減速である。さらに、12ヶ月間ずっと観測できている定番のAIキーワード600語だけを取り出すと、前月比は-6.6%と減っている。総量が増えたのは、既存の言葉が伸びたからではなく、新しい言葉が増えたからである。
伸びている中身も変わった。ChatGPT・Gemini・Claudeという主要プロダクトの指名検索は横ばいか減少に入った一方、「事例・業務活用」(前月比3.4倍)、「規制・著作権・信頼性」(同3.8倍)、「AIエージェント・MCP」(同+59%)、「課金・法人契約」(同+36%)が伸びた。人々の検索は、どのAIを使うかを選ぶ段階から、社内でどう通してどう回すかを調べる段階へ移っている。
2. 主要な分析結果(ファインディングス)
- ファインディングス1:関心の総量は最高だが、伸びは止まりかけている。 AI関連キーワードの月間ボリュームは6,169万件で観測期間の最高値。ただし前月比は+3.9%で、6月→7月の+19.1%から大きく落ちた。12ヶ月連続で計測できる定番600語に限れば2,974万件で前月比-6.6%。総量の伸びは新語の増殖によるもので、8月に初めて数字が立ったAI関連語は7,346件・523万件(AI関連総量の8.5%)にのぼる。
- ファインディングス2:主要3プロダクトの指名検索が同時に踊り場に入った。 ChatGPT・OpenAI系は2,570万件で前月とほぼ同じ、Gemini・Google系は1,646万件で-2.1%、Claude系は631万件で3月のピーク777万件から-18.9%。単一キーワードでも「claude」は204万件(前月比-17.2%)、「クロード」は49万件(-15.7%)と減っている。「チャットgpt」だけが1,064万件で最高値を更新した。
- ファインディングス3:検索の中身が「知る」から「社内で回す」へ移った。 検索意図別の前月比は、事例・業務活用が+239%、比較・おすすめが+87%、使い方・方法が+60%、料金・課金が+34%。「〜とは」型の理解目的も273万件(+30%)と最大のまま伸びており、入門層と実務層が同時に増えている。
- ファインディングス4:規制・著作権・信頼性の検索が急に立ち上がった。 このクラスタ166件の合計は7月の3.5万件から8月13.3万件へ3.8倍。中身は「ai事業者ガイドライン」(4,607件)、「aiと著作権に関する考え方について 文化庁」(1,564件)、「日本ディープラーニング協会 生成aiの利用ガイドライン」(1,538件)、「最近のaiと著作権に関する裁判例」(1,244件)と、実在する公的文書やガイドラインの名前で検索されている。加えて「ハルシネーションとは」が4.1万件を記録した。
- ファインディングス5:AIが「使う道具」から「広告を出す場所」に変わり始めた。 広告関連のAIキーワード148件の合計は5月6.4万件、6月15.3万件、7月22.4万件、8月24.2万件と3ヶ月で3.8倍。しかもトラフィックの受け皿はhelp.openai.comとads.openai.comで、出稿を検討する側が解説記事ではなく公式のヘルプへ直接向かっている。
3. 詳細分析:洞察と今後の展望
トピック1:「総量は最高、伸びは減速 — 頭は止まり、尾が伸びている」
- 客観的なデータ事実: AI関連キーワードの月間検索ボリュームは2025年9月の3,389万件から2026年8月の6,169万件へ1.82倍になった。ただし前月比の推移は、6月+3.9%、7月+19.1%、8月+3.9%と一定ではない。12ヶ月すべてで数字が取れている定番600語のパネルは、3月3,144万件、5月3,113万件、6月3,115万件、7月3,186万件、8月2,974万件と3月以降ほぼ横ばいで推移し、8月に前月比-6.6%となった。一方、8月に初めて数字が立ったAI関連語は7,346件で523万件ぶんある。前月比データのあるキーワード9,411件のうち、上昇は56.0%、下降は42.3%だった。
- 洞察と今後の展望:
- [洞察] 定番の言葉が減っているのに全体が増えているということは、市場の拡大がすでに「同じ言葉をより多くの人が検索する」形では起きていないということである。新しく増えている言葉の中身を見ると、qwen3.8、deepseek v4 flash、gemini 3.7、grok 4.6、novelai v5、civitai redといったモデルやサービスの新バージョン名が並ぶ。つまり伸びの相当部分は、供給側が新しい名前を次々に出していることに検索が反応したものだ。需要そのものが厚くなったわけではない。
- [今後の展望] 新バージョンの発表が続くかぎり総量は増え続けるが、この伸び方は基盤の拡大とは違う。定番語のパネルが3月以降横ばいから微減に入っていることを踏まえると、日本のAI検索は「何かを知りたい人の数」という意味では成長期の後半に差しかかっている可能性がある。この先の判断材料としては、9月・10月に新バージョンの発表が一段落したときに総量がどう動くかを見るのがよい。そこで総量まで落ちるなら、市場は成熟期の入り口ということになる。
トピック2:「主要3プロダクトの指名検索が同時に止まった」
- 客観的なデータ事実: ChatGPT・OpenAI系のキーワード群は7月2,569万件、8月2,570万件でほぼ同じ。Gemini・Google系は7月1,681万件から8月1,646万件(-2.1%)。Claude系は3月777万件をピークに、6月707万件、7月652万件、8月631万件と3ヶ月続けて減った。単一キーワードでは「claude」が3月282万件から8月204万件へ、「クロード」が58万件から49万件へ下がった。トラフィック上位でも「claude」は6月時点の全体11.11%から8月は1.35%へ順位を落としている。例外は「チャットgpt」で、2025年9月441万件から8月1,064万件へ2.4倍になり最高値を更新した。
- 洞察と今後の展望:
- [洞察] 3つのプロダクトが同時に止まったということは、個別の勢いの問題ではなく、指名検索という行動そのものが減っていると考えるほうが自然である。名前を覚えて日常的に使う人は、もう検索せずにブックマークやアプリから直接開く。指名検索は「まだ使い始めていない人が名前を調べる」行動であり、それが減るのは利用者が定着した後に必ず起きる。カタカナ表記の「チャットgpt」だけが伸び続けているのも同じ話で、まだ入り口にいる層が最も多いのがChatGPTだということを示している。
- [今後の展望] 指名検索の減少は、AIツールの利用が減っていることを意味しない。むしろ逆で、定着したから検索されなくなっている。この先、AIツールの普及度を検索ボリュームで測ろうとすると実態を見誤る。半年から1年の間に、検索は「どのAIを使うか」ではなく「AIで何をどう処理するか」を調べる用途に置き換わっていく。自社の状況を測るなら、社員が何を検索しているかより、どの業務にAIが入ったかを数えるほうが正確になる。
トピック3:「調べているのは、もう使い方ではなく社内の通し方」
- 客観的なデータ事実: 検索意図別に集計すると、7月から8月にかけて事例・業務活用が4.0万件から13.6万件(+239%)、比較・おすすめが24.7万件から46.2万件(+87%)、使い方・方法が47.8万件から76.5万件(+60%)、料金・課金が148万件から198万件(+34%)に伸びた。課金・法人契約のクラスタは1年前の20万件から154万件へ7.6倍になっている。個別では「gemini スパーク 活用事例」(2,131件)、「gemini gem 活用例」(1,904件)、「claude code徹底活用術」(1,662件)、「aiエージェント 比較」(1,828件)、「広告運用者 ai活用」(1,439件)など、業務の場面を名指しした検索が上位に入った。
- 洞察と今後の展望:
- [洞察] 「使い方」と「事例」は似ているようで、検索している人の立場が違う。使い方を調べるのは自分が操作したい人で、事例を調べるのは他社が何をやったかを知って社内を説得したい人である。事例の検索が3ヶ月で桁違いに増えたことは、AI導入の意思決定が個人の判断から組織の判断に移ったことを示している。比較・おすすめが同時に伸びているのも同じ流れで、選定と稟議のための材料集めが始まっている。
- [今後の展望] 個人が使い始めてから組織が契約するまでの間には、必ず選定と説得の期間がある。いまの日本市場はそこに入った。この期間は半年から1年続くことが多く、その間は「導入したかどうか」より「どこまで社内に通せたか」で企業の差が開く。自社でAIを進める立場なら、次に必要になるのはツールの選定そのものより、自社の業務で試した結果を社内で共有できる形にしておくことである。他社事例を探しに行く人が増えているということは、逆に言えば自社の事例が説得材料として効く場面が増えるということでもある。
トピック4:「導入の次の関門は、ルールの確認になった」
- 客観的なデータ事実: 規制・著作権・信頼性のキーワード166件の合計は、5月1.4万件、6月2.4万件、7月3.5万件、8月13.3万件と推移した。8月の内訳は「ハルシネーションとは」4.1万件、「ai事業者ガイドライン」4,607件、「grok 規制」4,400件、「ai 画像生成 規制なし」3,777件、「claude 個人情報」2,688件、「open ai 広告 掲載ガイドライン」1,728件、「aiと著作権に関する考え方について 文化庁」1,564件、「日本ディープラーニング協会 生成aiの利用ガイドライン」1,538件、「aiと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」1,425件、「最近のaiと著作権に関する裁判例」1,244件など。あわせて「生成aiパスポート」が13.9万件(前月比+25%)、「生成aiパスポート 勉強方法」が5,094件(749件から6.8倍)に伸び、資格・研修・学習のクラスタ全体も45.4万件から62.0万件(+37%)になった。
- 洞察と今後の展望:
- [洞察] ここで検索されているのは抽象的な「AIのリスク」ではなく、文化庁の考え方、AI事業者ガイドライン、JDLAの利用ガイドラインといった具体的な文書名である。文書名で検索する人は、社内規程を作るか、稟議書に根拠として貼る必要がある人だ。同時に「ハルシネーションとは」が4.1万件検索されているのは、AIの出力をそのまま信じられないという前提が一般の利用者にも共有され始めたことを示している。資格取得の検索が伸びているのも同じ背景で、AIを使えることを個人が証明したい段階に入っている。
- [今後の展望] ルールの確認が始まったということは、AI導入の障害が技術や費用ではなく社内手続きに移ったということである。この先1年で、AIを扱う社内規程を持つかどうかが企業間の差になる。規程がない会社では、現場が勝手に使う状態が続き、情報漏洩や著作権の問題が起きたときに止められない。逆に規程を先に作った会社は、現場に使わせる判断が速くなる。取引先からAI利用の方針を聞かれる場面も増えるはずで、答えを用意していないこと自体が商談上の不利になり得る。
トピック5:「AIが、広告を出す場所になり始めた」
- 客観的なデータ事実: AIと広告の両方を含むキーワード148件の合計ボリュームは、2026年4月1.0万件、5月6.4万件、6月15.3万件、7月22.4万件、8月24.2万件と推移した。内訳は「chatgpt広告」5.1万件、「chatgpt 広告」2.8万件、「chatgpt ads」1.3万件、「gpt広告」1.1万件、「チャットgpt広告」9,913件、「gemini 広告」5,756件など。トラフィックの受け皿はhelp.openai.comとads.openai.comが中心で、「chatgpt広告」からは2,006件が公式ヘルプへ流れている。
- 洞察と今後の展望:
- [洞察] これまでAI関連の検索は、AIを使う側の疑問だった。広告の検索はそれと質が違い、AIに広告を出したい側、つまり企業のマーケティング担当者の動きである。しかも解説記事ではなく公式のヘルプページに直接向かっているので、情報収集ではなく出稿の実務を確認している人が多い。検索の表記が「chatgpt広告」「chatgpt ads」「gpt広告」と割れているのは、まだ正式名称が定着していない立ち上がり初期であることの表れだ。
- [今後の展望] 4ヶ月で20倍を超える伸びであり、この立ち上がり方は新しい広告媒体が登場したときの典型的な動きに近い。向こう半年から1年で、AIサービス上の広告は検索広告やSNS広告と並ぶ選択肢として検討対象に入る可能性が高い。同時に考えておくべきなのは、AIが広告を載せる場所になるということは、AIの回答が広告の影響を受け得る場所になるということでもある。自社の商品が生成AIの回答にどう出てくるかは、これまで手の届かない領域だったが、今後は費用をかけて関与できる領域に変わっていく。
トピック6:「画像・動画・音楽の生成が戻ってきた」
- 客観的なデータ事実: 画像・動画・音楽生成のキーワード群は、2026年2月から7月まで167万〜188万件の範囲で横ばいだったが、8月に252万件へ+48%伸びた。個別では「suno」26.0万件(+15%)、「stable diffusion」20.5万件(+12%)、「novelai」18.1万件(+24%)、「comfyui」13.7万件(+31%)、「civitai」11.4万件(+33%)、「ノベルai」7.7万件(+34%)。新しい版名として「novelai v5」5.6万件、「civitai red」6.9万件が加わった。トラフィックでは「comfyui」が95,747件で全体の6.20%を占め、単一キーワードとして首位である。
- 洞察と今後の展望:
- [洞察] 半年間動かなかった領域が一斉に伸びたのは、複数のサービスが同時期に新しい版を出したためと考えられる。ここで重要なのは、伸びているのが「画像生成 ai」のような一般語ではなく、comfyui、civitai、novelaiといった特定ツールの名前だという点である。一般語の「画像生成 ai」は4.6万件で前月からほぼ横ばいだった。つまり新しく興味を持つ人が増えたのではなく、すでに使っている人が新しい版を試しに動いた。
- [今後の展望] 使い手が固定されたまま道具の更新に反応する構造なので、この伸びは新版の話題が落ち着けば戻る可能性が高い。ただし、この領域の利用者は自分で環境を構築して使い込む層であり、企業がAIで映像や画像を内製する際の実際の担い手はここにいる。制作費を外部に払う前提で予算を組んでいる場合、社内にこの層がいるかどうかで実現できることが変わる。
4. 人々はいま、何に関心を向けているか
検索キーワードは、SEOで狙う的である前に、人々がいま何を知りたく、何をしたいのかを映す記録である。その視点で8月のデータを読む。
最も関心を集めているもの(トラフィック上位 Top 12)
| # | キーワード | トラフィック | シェア | 8月検索数 | 検索数の前月比 | 主な受け皿 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | comfyui | 95,747 | 6.20% | 137,322 | +30.6% | aismiley.co.jp |
| 2 | ジェミニ | 86,301 | 5.59% | 3,382,648 | -7.7% | gemini.google.com |
| 3 | ai博覧会 | 46,571 | 3.01% | 23,654 | +347.1% | aismiley.co.jp |
| 4 | チャットgpt | 39,823 | 2.58% | 10,643,390 | +2.1% | chatgpt.com |
| 5 | aiニュース | 21,751 | 1.41% | 18,729 | +14.5% | ledge.ai |
| 6 | claude | 20,881 | 1.35% | 2,042,829 | -17.2% | claude.ai |
| 7 | ai博覧会 summer 2026 | 20,156 | 1.30% | 9,013 | +921.9% | aismiley.co.jp |
| 8 | chatgpt 有料プラン | 19,740 | 1.28% | 59,597 | -17.5% | chatgpt.com |
| 9 | gemini spark | 19,629 | 1.27% | 186,666 | +15.2% | note.com |
| 10 | google ai studio | 14,798 | 0.96% | 336,070 | -13.4% | aistudio.google.com |
| 11 | クロード | 11,897 | 0.77% | 492,197 | -15.7% | claude.ai |
| 12 | ノベルai | 11,170 | 0.72% | 76,679 | +33.6% | novelai.net |
この並びから読めること: 6月に上位を占めていたClaude関連が下がり、代わりに画像生成ツールとリアルイベントが上位に来た。3位と7位のAI博覧会だけで6.7万件、全体の4.3%を占める。画面の中で調べるだけでなく、会場に足を運んで見に行く人が増えている。
8月に大きく増えたもの(検索数の増分が大きいAI関連キーワード)
| # | キーワード | 7月 | 8月 | 増分 | 関心の中身 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | deepseek | 261,737 | 330,549 | +68,812 | 安い中国製モデルを確かめる |
| 2 | gemini notebook | 63,752 | 125,004 | +61,252 | 資料を読ませて要約させる |
| 3 | manus | 103,243 | 160,308 | +57,065 | 作業をまるごと任せる |
| 4 | minimax | 20,828 | 71,361 | +50,533 | 新しい中国製モデルを試す |
| 5 | grokk | 30,563 | 75,027 | +44,464 | Grokを綴り違いで探す(後発層) |
| 6 | novelai v5 | 15,979 | 56,042 | +40,063 | 画像生成の新版を試す |
| 7 | novelai | 145,315 | 180,596 | +35,281 | イラストを生成する |
| 8 | suno | 225,498 | 259,893 | +34,395 | 曲を作らせる |
| 9 | comfyui | 105,119 | 137,322 | +32,203 | 画像生成を自分で組む |
| 10 | civitai | 85,389 | 113,628 | +28,239 | 生成モデルを探して入れる |
| 11 | deepseek v4 flash | 6,886 | 35,085 | +28,199 | 新版の性能を確かめる |
| 12 | 生成aiパスポート | 110,918 | 139,088 | +28,170 | AIスキルを資格で示す |
| 13 | manus とは | 6,029 | 30,185 | +24,156 | 作業代行AIの正体を知る |
| 14 | qwen | 60,341 | 83,761 | +23,420 | 中国製モデルの本命を見る |
| 15 | ドル円予想 ai | 3,073 | 25,380 | +22,307 | AIに相場を読ませる |
この並びから読めること: 上位15件のうち5件が中国製モデル、5件が画像・音楽生成で、いずれも「新しく出た版を試す」動きである。ChatGPTやClaudeの名前は入っていない。関心は新しいものへ向かい続けているが、その先が業務に結びつくかどうかはまだ分かれている。13位の「manus とは」のように、作業を丸ごと任せる種類のAIに対しては、まだ正体を確認する段階の検索が多い。
5. 月次トレンド推移
テーマ別の月間検索ボリューム推移(単位:千件)。キーワードの表記ゆれを含めて集計している。
| テーマ | 25-09 | 25-10 | 25-11 | 25-12 | 26-01 | 26-02 | 26-03 | 26-04 | 26-05 | 26-06 | 26-07 | 26-08 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ChatGPT・OpenAI系 | 14,529 | 10,983 | 13,571 | 13,578 | 14,971 | 13,993 | 16,440 | 16,453 | 19,341 | 20,863 | 25,686 | 25,701 |
| Gemini・Google系 | 10,887 | 10,675 | 12,160 | 13,870 | 14,722 | 13,023 | 17,116 | 12,621 | 13,887 | 13,138 | 16,810 | 16,460 |
| Claude系 | 1,209 | 1,437 | 1,296 | 1,240 | 1,810 | 4,021 | 7,773 | 7,259 | 6,699 | 7,065 | 6,520 | 6,307 |
| 画像・動画・音楽生成 | 1,573 | 2,258 | 1,655 | 1,876 | 1,959 | 1,674 | 1,783 | 1,774 | 1,866 | 1,710 | 1,704 | 2,524 |
| 課金・法人契約 | 202 | 241 | 216 | 275 | 391 | 711 | 1,003 | 934 | 1,010 | 932 | 1,130 | 1,538 |
| 中国系モデル | 423 | 392 | 322 | 285 | 302 | 319 | 436 | 514 | 551 | 672 | 1,315 | 1,326 |
| AIエージェント・MCP | 204 | 267 | 159 | 231 | 212 | 261 | 409 | 494 | 397 | 340 | 488 | 776 |
| AI×広告 | 6 | 9 | 3 | 5 | 29 | 28 | 9 | 10 | 64 | 153 | 224 | 242 |
| 事例・業務活用 | 3 | 2 | 0 | 1 | 6 | 10 | 11 | 8 | 7 | 10 | 40 | 136 |
| 規制・著作権・信頼性 | 44 | 51 | 8 | 7 | 27 | 21 | 21 | 18 | 14 | 24 | 35 | 133 |
読み筋: 上の3行(主要プロダクト)は7月から8月にかけてほぼ止まっている。動いているのは下の6行、つまりプロダクトそのものではなくその周辺である。特に事例・業務活用と規制・著作権・信頼性は絶対量こそ小さいが、6月からの2ヶ月で10倍以上になった。市場を牽引する役が、道具の紹介から導入の実務へ入れ替わりつつある。
6. このデータがビジネスに突きつけるもの
問い1:AIの普及度を、まだ検索ボリュームで測っていないか
主要3プロダクトの指名検索が同時に横ばいから減少に入った。これを「AIブームが終わった」と読むのは誤りである。定着したツールは検索されなくなるからだ。実際、同じ月に事例・業務活用の検索は3.4倍、課金・法人契約は+36%、規制・著作権は4.1倍に伸びている。使う人が減ったのではなく、使う人の関心が次の段階に進んだ。自社や取引先のAI活用度を判断するなら、話題の量ではなく、どの業務が実際に置き換わったかを数えるほうが実態に近い。
問い2:AIを社内で使うルールを、文書として持っているか
8月は、文化庁の著作権の考え方、AI事業者ガイドライン、日本ディープラーニング協会の利用ガイドラインといった、具体的な文書名での検索が一斉に立ち上がった月だった。これらを検索している人は、社内規程を書くか、稟議に根拠を添えようとしている。同時に「ハルシネーションとは」が4.1万件検索され、AIの出力をそのまま信じない前提が広がっている。ルールがない状態で現場が使い続ける会社と、先にルールを決めた会社では、この先1年で進み方が変わる。規程は使わせないために作るものではなく、使わせる判断を速くするために作るものである。
問い3:自社の商品が、AIの回答にどう出てくるかを考えたことがあるか
AIに広告を出す側の検索が4ヶ月で20倍を超えた。しかも解説記事ではなく公式のヘルプへ直接向かっている。AIサービスが広告媒体になるということは、生成AIの回答が広告の影響を受ける場所になるということでもある。これまで自社の商品が生成AIの回答にどう出てくるかは手の届かない領域だったが、今後は費用をかけて関与できる領域に変わる。検索広告が登場したときと同じ順序で進むなら、早く動いた側が安く場所を確保する期間がしばらく続く。
問い4:他社事例を探すばかりで、自社の事例を出す側に回っていないか
事例を検索する人が3ヶ月で桁違いに増えた。裏を返せば、自社が試した結果を語れる会社は、いま説得材料として求められている状態にある。特別な成功譚である必要はない。どの業務にどう入れて、何がどれだけ変わったかを具体的に書けるだけで、探している人には十分に価値がある。
来月、市場の分かれ道として注視したい点
- 総量の伸びが戻るかどうか。 8月の総量の伸びは新バージョンの発表に支えられていた。発表が一段落したときに総量まで落ちるなら、日本のAI検索は成熟期の入り口に入ったと判断してよい。
- Claude系の減少が続くかどうか。 3月のピークから3ヶ月連続で減っている。反転すれば法人導入の波が来た合図、続けて減るなら日本での定着は3月がピークだったことになる。
- AI×広告のクラスタが30万件を超えるかどうか。 超えれば媒体として本格的に立ち上がったと見てよい。表記が「chatgpt広告」に収れんしていくかどうかも、定着の目安になる。
- 事例・業務活用の伸びが続くかどうか。 8月の13.6万件は伸び始めたばかりの水準である。ここが伸び続ければ、導入検討が広い層に広がっていることの裏づけになる。
データについての注記
- データ元:SimilarWeb「Top Keywords / AI系メディア」(392サイト・日本・全デバイス)、対象月2026年8月、取得日2026年9月8日。総キーワード数30,580件。
- カテゴリの性質上、AIと無関係な一般キーワード(交通情報、通販、人名など)が長い尾に含まれる。本レポートの市場総量は、AI関連語15,294件に限定して集計した6,169万件を用いている。全キーワードの合計は9,294万件だが、この数字にはノイズが含まれるため単独では使っていない。
- 月次のVolume列には、値が0として記録されている月がある。これは検索がなかったのではなく計測の欠損である場合が多い。個別キーワードの「新規出現」の判定は、この欠損と区別がつかないため慎重に扱った。テーマ別の集計やパネル集計は、この影響を受けにくい方法で算出している。
- トラフィックの前月比(変化列)は、当月のトラフィック総量そのものが月によって変動するため、単独では解釈しにくい。本レポートでは主に検索ボリュームの前月比を用いた。