【定期的実験レポート】主要AI系メディア8サイトにトラフィックをもたらしたキーワード26年8月分を中心にCLAUDE Fable5.1に分析させてみた。

AI系メディア キーワード動向分析レポート(2026年8月)

1. 分析サマリー

本レポートは、AI系メディア群(392サイト・日本)のSimilarWeb検索キーワードデータ30,580件から抽出したファインディングスと、そこから読み取れる市場の洞察および今後の見通しをまとめたものである。うちAI関連のキーワードは15,294件で、トラフィック全体の62.6%を占める。

2026年8月は、関心の総量が過去最高を更新しながら、伸び方がはっきり鈍った月だった。AI関連キーワードの月間検索ボリュームは6,169万件で12ヶ月前の1.82倍だが、前月比は+3.9%にとどまる。6月から7月への伸びが+19.1%だったことを考えると、明確な減速である。さらに、12ヶ月間ずっと観測できている定番のAIキーワード600語だけを取り出すと、前月比は-6.6%と減っている。総量が増えたのは、既存の言葉が伸びたからではなく、新しい言葉が増えたからである。

伸びている中身も変わった。ChatGPT・Gemini・Claudeという主要プロダクトの指名検索は横ばいか減少に入った一方、「事例・業務活用」(前月比3.4倍)、「規制・著作権・信頼性」(同3.8倍)、「AIエージェント・MCP」(同+59%)、「課金・法人契約」(同+36%)が伸びた。人々の検索は、どのAIを使うかを選ぶ段階から、社内でどう通してどう回すかを調べる段階へ移っている。

2. 主要な分析結果(ファインディングス)

3. 詳細分析:洞察と今後の展望

トピック1:「総量は最高、伸びは減速 — 頭は止まり、尾が伸びている」

トピック2:「主要3プロダクトの指名検索が同時に止まった」

トピック3:「調べているのは、もう使い方ではなく社内の通し方」

トピック4:「導入の次の関門は、ルールの確認になった」

トピック5:「AIが、広告を出す場所になり始めた」

トピック6:「画像・動画・音楽の生成が戻ってきた」

4. 人々はいま、何に関心を向けているか

検索キーワードは、SEOで狙う的である前に、人々がいま何を知りたく、何をしたいのかを映す記録である。その視点で8月のデータを読む。

最も関心を集めているもの(トラフィック上位 Top 12)

# キーワード トラフィック シェア 8月検索数 検索数の前月比 主な受け皿
1 comfyui 95,747 6.20% 137,322 +30.6% aismiley.co.jp
2 ジェミニ 86,301 5.59% 3,382,648 -7.7% gemini.google.com
3 ai博覧会 46,571 3.01% 23,654 +347.1% aismiley.co.jp
4 チャットgpt 39,823 2.58% 10,643,390 +2.1% chatgpt.com
5 aiニュース 21,751 1.41% 18,729 +14.5% ledge.ai
6 claude 20,881 1.35% 2,042,829 -17.2% claude.ai
7 ai博覧会 summer 2026 20,156 1.30% 9,013 +921.9% aismiley.co.jp
8 chatgpt 有料プラン 19,740 1.28% 59,597 -17.5% chatgpt.com
9 gemini spark 19,629 1.27% 186,666 +15.2% note.com
10 google ai studio 14,798 0.96% 336,070 -13.4% aistudio.google.com
11 クロード 11,897 0.77% 492,197 -15.7% claude.ai
12 ノベルai 11,170 0.72% 76,679 +33.6% novelai.net

この並びから読めること: 6月に上位を占めていたClaude関連が下がり、代わりに画像生成ツールとリアルイベントが上位に来た。3位と7位のAI博覧会だけで6.7万件、全体の4.3%を占める。画面の中で調べるだけでなく、会場に足を運んで見に行く人が増えている。

8月に大きく増えたもの(検索数の増分が大きいAI関連キーワード)

# キーワード 7月 8月 増分 関心の中身
1 deepseek 261,737 330,549 +68,812 安い中国製モデルを確かめる
2 gemini notebook 63,752 125,004 +61,252 資料を読ませて要約させる
3 manus 103,243 160,308 +57,065 作業をまるごと任せる
4 minimax 20,828 71,361 +50,533 新しい中国製モデルを試す
5 grokk 30,563 75,027 +44,464 Grokを綴り違いで探す(後発層)
6 novelai v5 15,979 56,042 +40,063 画像生成の新版を試す
7 novelai 145,315 180,596 +35,281 イラストを生成する
8 suno 225,498 259,893 +34,395 曲を作らせる
9 comfyui 105,119 137,322 +32,203 画像生成を自分で組む
10 civitai 85,389 113,628 +28,239 生成モデルを探して入れる
11 deepseek v4 flash 6,886 35,085 +28,199 新版の性能を確かめる
12 生成aiパスポート 110,918 139,088 +28,170 AIスキルを資格で示す
13 manus とは 6,029 30,185 +24,156 作業代行AIの正体を知る
14 qwen 60,341 83,761 +23,420 中国製モデルの本命を見る
15 ドル円予想 ai 3,073 25,380 +22,307 AIに相場を読ませる

この並びから読めること: 上位15件のうち5件が中国製モデル、5件が画像・音楽生成で、いずれも「新しく出た版を試す」動きである。ChatGPTやClaudeの名前は入っていない。関心は新しいものへ向かい続けているが、その先が業務に結びつくかどうかはまだ分かれている。13位の「manus とは」のように、作業を丸ごと任せる種類のAIに対しては、まだ正体を確認する段階の検索が多い。

5. 月次トレンド推移

テーマ別の月間検索ボリューム推移(単位:千件)。キーワードの表記ゆれを含めて集計している。

テーマ 25-09 25-10 25-11 25-12 26-01 26-02 26-03 26-04 26-05 26-06 26-07 26-08
ChatGPT・OpenAI系 14,529 10,983 13,571 13,578 14,971 13,993 16,440 16,453 19,341 20,863 25,686 25,701
Gemini・Google系 10,887 10,675 12,160 13,870 14,722 13,023 17,116 12,621 13,887 13,138 16,810 16,460
Claude系 1,209 1,437 1,296 1,240 1,810 4,021 7,773 7,259 6,699 7,065 6,520 6,307
画像・動画・音楽生成 1,573 2,258 1,655 1,876 1,959 1,674 1,783 1,774 1,866 1,710 1,704 2,524
課金・法人契約 202 241 216 275 391 711 1,003 934 1,010 932 1,130 1,538
中国系モデル 423 392 322 285 302 319 436 514 551 672 1,315 1,326
AIエージェント・MCP 204 267 159 231 212 261 409 494 397 340 488 776
AI×広告 6 9 3 5 29 28 9 10 64 153 224 242
事例・業務活用 3 2 0 1 6 10 11 8 7 10 40 136
規制・著作権・信頼性 44 51 8 7 27 21 21 18 14 24 35 133

読み筋: 上の3行(主要プロダクト)は7月から8月にかけてほぼ止まっている。動いているのは下の6行、つまりプロダクトそのものではなくその周辺である。特に事例・業務活用と規制・著作権・信頼性は絶対量こそ小さいが、6月からの2ヶ月で10倍以上になった。市場を牽引する役が、道具の紹介から導入の実務へ入れ替わりつつある。

6. このデータがビジネスに突きつけるもの

問い1:AIの普及度を、まだ検索ボリュームで測っていないか

主要3プロダクトの指名検索が同時に横ばいから減少に入った。これを「AIブームが終わった」と読むのは誤りである。定着したツールは検索されなくなるからだ。実際、同じ月に事例・業務活用の検索は3.4倍、課金・法人契約は+36%、規制・著作権は4.1倍に伸びている。使う人が減ったのではなく、使う人の関心が次の段階に進んだ。自社や取引先のAI活用度を判断するなら、話題の量ではなく、どの業務が実際に置き換わったかを数えるほうが実態に近い。

問い2:AIを社内で使うルールを、文書として持っているか

8月は、文化庁の著作権の考え方、AI事業者ガイドライン、日本ディープラーニング協会の利用ガイドラインといった、具体的な文書名での検索が一斉に立ち上がった月だった。これらを検索している人は、社内規程を書くか、稟議に根拠を添えようとしている。同時に「ハルシネーションとは」が4.1万件検索され、AIの出力をそのまま信じない前提が広がっている。ルールがない状態で現場が使い続ける会社と、先にルールを決めた会社では、この先1年で進み方が変わる。規程は使わせないために作るものではなく、使わせる判断を速くするために作るものである。

問い3:自社の商品が、AIの回答にどう出てくるかを考えたことがあるか

AIに広告を出す側の検索が4ヶ月で20倍を超えた。しかも解説記事ではなく公式のヘルプへ直接向かっている。AIサービスが広告媒体になるということは、生成AIの回答が広告の影響を受ける場所になるということでもある。これまで自社の商品が生成AIの回答にどう出てくるかは手の届かない領域だったが、今後は費用をかけて関与できる領域に変わる。検索広告が登場したときと同じ順序で進むなら、早く動いた側が安く場所を確保する期間がしばらく続く。

問い4:他社事例を探すばかりで、自社の事例を出す側に回っていないか

事例を検索する人が3ヶ月で桁違いに増えた。裏を返せば、自社が試した結果を語れる会社は、いま説得材料として求められている状態にある。特別な成功譚である必要はない。どの業務にどう入れて、何がどれだけ変わったかを具体的に書けるだけで、探している人には十分に価値がある。

来月、市場の分かれ道として注視したい点


データについての注記