
「冊子を配って終わり」
「理念を掲げて終わり」
インナーブランディングには、いまだ誤解がつきまとっています。しかし、私たちははっきりと言えます。インナーブランディングは、経営の幹をつくる施策です。
理念を軸に、採用・教育・評価・表彰といったあらゆる組織活動を統一し、バラつきをなくしていく。それは結果的に、人材も、労力も、コストも効率化され、組織成長を最短化する取り組みとなります。
では、なぜそれが「経営の幹」となり得るのか。どのように進めれば、インナーブランディングは“やっているつもり”ではなく、“変化を生み出す活動”になるのか。
本記事では、むすびが現場で見てきた実例と思想をもとに、その実践的な視点をお伝えしていきます。
インナーブランディングの成功ステップについては、過去に下記の記事でも解説しているのでそちらも参考にしてください。
本記事では、下記の記事をより深く掘り下げています。
経営者の姿勢こそが組織を変える
まず最初に伝えたいのは、インナーブランディングを機能させるためには「経営者自身が旗を振る」という姿勢が不可欠だということです。理念やビジョンを掲げるだけでは、組織は変わりません。
その価値を、誰よりも本気で信じ、体現する姿を示す必要があります。
トップの体現が理念を本物にする
インナーブランディングが成果を出すかどうかは、経営者の姿勢にかかっています。人事に「じゃあやってみて」と丸投げするようでは、文化は育ちません。
社長自身が「これはうちに必要だ」「社員の未来と会社の成長、どちらにも意味がある」と確信し、誰よりも理念を体現していくこと。それがあってこそ、社員は本気になります。
トップの姿勢が問われるのは、何かを“言ったかどうか”ではなく、“体現しているかどうか”。むすびでは「理念浸透を社員に任せる前に、まずは経営者がやってください」とお伝えしています。理念にそぐわない判断や行動がトップにあると、どれほど言葉を尽くしても、組織には伝わりません。
また、社員の行動変容を期待するなら、それを支える「ストーリー」や「納得感」が必要です。経営者が自らの経験や想いとともに語ることで、理念は単なる“会社のスローガン”から“私たちの価値観”へと変わっていきます。
バラバラの施策を統一する力
次に考えるべきは、経営の中にある「バラつき」をどう解消するかです。多くの企業では、理念・採用・育成・評価・表彰が分断されて運用されています。
これを一本の思想で結び直すのが、インナーブランディングの真価です。
各施策を“幹”でつなぐと、すべてが機能し始める
「理念はあるけど教育は別担当」「採用は外注」「研修はその場しのぎ」
多くの企業が、こうした“点”の状態で組織づくりを進めています。むすびがご提案するのは、すべてを“幹”でつなげることです。
理念を出発点に、それに沿った採用をし、同じ価値観で教育し、行動を評価・承認する。この流れが一本につながったとき、社員の納得感も成長スピードも格段に変わります。
実際、組織のバラつきに悩む企業の多くは「それぞれの施策の目的が違っている」という状態にあります。採用は人手不足解消、研修はとりあえずの知識付与、評価は成果重視。これでは、組織に一貫性は生まれません。
インナーブランディングの視点を入れることで、これらの施策が「何のために存在するのか」「どうつながっているのか」がクリアになり、すべての打ち手が意味を持ち始めます。
「理念→戦略→行動」の一本化が育成にもなる

施策の統一だけでなく、人材育成にもインナーブランディングは大きな意味を持ちます。理念を「日常の判断軸」にまで落とし込むことで、社員は自律的に考え、行動できるようになります。
フィードバック文化を育てる
インナーブランディングが本当に機能すると、理念がそのまま戦略となり、行動の軸となっていきます。この一貫性があることで、採用・育成・評価のすべてが統一され、人材が育つ“型”が生まれます。
たとえば、「お客様第一」という理念がある会社なら、「どうすれば目の前の業務でそれを体現できるか?」を本人が考え、上司が支援し、評価にも反映される状態をつくる。こうした文化が根づくと、「理念に沿った行動」を日常的にフィードバックし合えるチームが形成されます。
この連動があることで、従業員は単なる作業者ではなく、自律的に考え、動き、組織の方向性に沿った意思決定ができる存在へと変わっていきます。それは結果として、ブランドとしての組織力を高めていくのです。
インナーブランディングは、効率的な経営の道標
最後に強調したいのは、インナーブランディングが「経営の精神論」ではないという点です。むしろそれは、経営の根幹を整える「仕組み」なのです。
組織の無駄を減らす考え方としての機能
私たちが提案するインナーブランディングは、戦略や仕組みの視点から、「理念→行動→成果」をひとつの軸で結び直す仕組みそのものです。理念を“使えるもの”に変え、現場の判断に活かし、組織を成長に導く。
この仕組みは、実は多くの企業が求めている「経営の効率化」と直結します。理念を出発点にすると、施策の優先順位も、打ち手の精度も、評価の公平性も変わります。属人的な判断や雰囲気での決定が減り、明確な価値基準に基づく組織運営が可能になります。
そして何より、「なぜそれをやるのか」が社員に伝わることで、納得感をもって行動が取られるようになります。これは、どれだけ丁寧に制度を設計するよりも、強力なモチベーションとなります。
自社で文化を育むために
むすびでは、インナーブランディングの価値を「組織文化」だけでなく「経営の効率化」としてお伝えしています。誰かから与えられる仕組みではなく、自分たちで設計し、自分たちで実行する。その道のりを支援するのが私たちの役目です。
課題を一緒に棚卸しし、現場にあわせた形に言語化し、無理なく続く仕組みにする。社員への朝礼支援、管理職への伝達設計、必要であれば事前の勉強会も。やるべきことはすべて、お手伝いできます。
「うちはできている」と思っていても、変化がなければ、できていない可能性が高い。それを“やってる風”で終わらせないためにも、本物のインナーブランディングをご検討ください。
むすびのインナーブランディングは、単なる文化醸成ではありません。効率的な経営の仕組みづくりとして、経営者と組織の未来を支える武器になると、私たちは確信しています。
【弊社のインナーブランディング事例はこちらをご確認ください。】

深澤 了 Ryo Fukasawa
むすび株式会社 代表取締役
ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター
2002年早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。2015年早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年むすび設立。地域ブランディングプロジェクト「まちいく事業」を立ち上げ、山梨県富士川町で開発した「甲州富士川・本菱・純米大吟醸」はロンドン、フランス、ミラノで6度金賞受賞。制作者としての実績はFCC(福岡コピーライターズクラブ)賞、日本BtoB広告賞金賞、山梨広告賞協会賞など。雑誌・書籍掲載、連載多数。著書は「無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング」(幻冬舎)、「知名度が低くても“光る人材“が集まる 採用ブランディング完全版」(WAVE出版)。「どんな会社でもできるインナーブランディング」(セルバ出版)。「人が集まる中小企業の経営者が実践しているすごい戦略 採用ブランディング」(WAVE出版)