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レポート

2024.04.19

スターバックスが採用するインナーブランディングの効果とその理由

スターバックスが実践するインナーブランディングは、単なるコーヒーショップを超えた独自の文化を作り出し、世界中にその魅力を伝えています。

社員の満足度を高め、顧客体験を向上させるその秘訣とは何か。一流のコーヒーチェーンとしての成功を支える内面的なブランド戦略を探ります。

スターバックスのコーポレートカルチャー

スターバックスのコーポレートカルチャー

スターバックスは、世界中に展開するカフェチェーンとして有名ですが、その成功の背景には、特有のコーポレートカルチャーがあります。

強固なブランドイメージと社員の働きがいの高さは、スターバックスの魅力的なコーポレートカルチャーに起因していると言っても過言ではありません。

社会への貢献や環境保護といった高い倫理観を持った組織の姿勢は、社員や顧客に対しても信頼と尊敬の念を持って受け止められています。これらの要素が合わさることで、スターバックスはただのコーヒーショップを超え、パートナーと呼ばれる社員が誇りを持って働く場、そして顧客にとって第二のホームのような存在となっています。

スターバックスの組織文化を形成する要素

スターバックスの組織文化は、いくつかの重要な要素によって形成されています。まず挙げられるのは、チームワークを非常に重視する文化でしょう。

店舗では、バリスタをはじめとするスタッフが協力し合い、円滑なオペレーションを実現しています。さらに、社員教育に力を入れ、サービススキルだけではなく人間性の向上を促すこともスターバックスの特徴です。

企業哲学として「第三の場所」という概念を掲げており、家庭と職場以外のくつろぎの場を提供することが、社員と顧客双方に対する約束事となっています。

このように、スターバックスは日々の業務の中で組織文化が息づいているのです。

社員満足度の高さの理由

スターバックスの社員満足度が高い理由は、複数存在します。特に、福利厚生の充実やキャリアアップのための支援が充実していることが大きなポイントです。

例えば、スターバックスではパートナー(社員)に対して、健康保険をはじめとする各種社会保険に加え、ストックオプションや学校への奨学金支援など、長期的なキャリア形成を見据えた福利厚生を提供しています。

また、個々の社員が能力を発揮できるような環境づくりにも力が入れられており、自己成長と会社の成長がシンクロしているのです。

顧客体験における社員の役割

スターバックスにおいて顧客体験は非常に重要視されており、その中心にいるのはパートナー(社員)です。彼らは単にコーヒーを提供するだけではなく、顧客とのコミュニケーションを大切にし、温かみのあるサービスを心がけています。

店内の清潔感を保つこと、商品知識を深めること、そして一人ひとりの顧客に合わせた対応を行うことで、リピーターを生み出し、強い顧客関係を築いているのです。

このようにしてスターバックスの社員は、単なるカフェの従業員ではなく、顧客にとっての特別な存在となっているのです。

コーヒーチェーン業界とインナーブランディング

コーヒーチェーン業界とインナーブランディング

コーヒーチェーン業界は、コンペチティブで変化の早い市場です。その中で、各企業は独自のブランディングに注力し、顧客の心に残るブランドを築こうと努力しています。

特にインナーブランディングは、社員が企業の理念や価値を内面から理解し、それを体現することによって、顧客体験を豊かにする重要な戦略となっています。

社員一人一人がブランドアンバサダーであるという考え方が、コーヒーチェーン店の競争力を高める要因となっているのです。

業界標準をつくりだすスターバックスのアプローチ

スターバックスはその独特のインナーブランディングによって、業界全体の標準をつくりだす存在となっています。

彼らのアプローチでは、ただ製品の品質を保つだけでなく、社員教育にも力を入れています。

結果としてスターバックスは、業界で模範とされるサービス品質を提供しています

エンプロイーブランディングの実施

https://pixabay.com/ja/photos/starbuck-%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%92%E3%83%BC-2363703/

スターバックスは、エンプロイーブランディングを積極的に実施しており、社員一人ひとりが同社のブランド価値を内面から理解し、体現しています。

企業の文化や価値観を社員が自分のものと捉え、それを外部に発信できる「生きた広告」のような存在になることが、エンプロイーブランディングの狙いです。

スターバックスでは、採用から研修、キャリア形成まで、一貫したメッセージでブランディングを推進することで、社員が自社を誇りに思い、長く働ける環境を整えているのです。

スターバックスの採用戦略とブランディング

スターバックスは、採用戦略においてブランディングを重要視しています。求人広告やキャリアウェブサイトでは、ただのコーヒーショップではなく、人と人とのつながりを大切にする「サードプレイス」としての企業イメージを強調しています。

さらに、社員紹介や職場の環境を公開することで、応募者がスターバックスで働くイメージを具体的に持てるような情報を提供しています。

実際に社員が感じる魅力や成長の機会を前面に押し出し、候補者に対し、自分が成長できる場であることをアピールすることが、スターバックスの採用力を高めている要因の一つです。

スターバックスのように企業は強くなれる

スターバックスは独自のコーポレートカルチャーとインナーブランディングで、コーヒーチェーンを超えた存在となっています。社員を大切にし、チームワークや教育を重視する組織文化は、バリスタたちを通じて顧客体験の向上につながっています。

充実した福利厚生とキャリア支援で社員満足度も高く、業界の標準を作り出すアプローチは他社の模範となっています。エンプロイーブランディングでは、採用から社員の声まで一貫したメッセージを発信し、スターバックスで働く魅力を伝えています。

このようなスターバックスの事例から、インナーブランディングの重要性が明らかです。社員がブランドの価値を内面化し、自ら体現することで、企業の強みを最大限に引き出すことができるのです。

これは、日本の中小企業でも同じようなことができます。実際に私たちむすび株式会社でも、数々の企業のインナーブランディングをサポートしてきました。

以下に事例を解説しておりますので、そちらも参考にしてください。

深澤 了 Ryo Fukasawa
むすび株式会社 代表取締役
ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター

2002年早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。2015年早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年むすび設立。地域ブランディングプロジェクト「まちいく事業」を立ち上げ、山梨県富士川町で開発した「甲州富士川・本菱・純米大吟醸」はロンドン、フランス、ミラノで6度金賞受賞。制作者としての実績はFCC(福岡コピーライターズクラブ)賞、日本BtoB広告賞金賞、山梨広告賞協会賞など。雑誌・書籍掲載、連載多数。著書は「無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング」(幻冬舎)、「知名度が低くても”光る人材”が集まる 採用ブランディング完全版」(WAVE出版)。「どんな会社でもできるインナー・ブランディング まず教育、そして採用、業績アップ。鉄板の好循環をつくる」(セルバ出版)。

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