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レポート

2024.04.22

リッツカールトンが実践するインナーブランディング事例紹介

高級ホテルの象徴、リッツカールトン。

彼らが如何にして内部からブランドの価値を高め、顧客体験を革新しているのか。その秘訣を、「インナーブランディング」の実践を通じて深く掘り下げ、具体例を交えながら紹介します。

リッツカールトンのインナーブランディング

世界的に著名なホスピタリティを誇るリッツカールトンでは、卓越した顧客体験を提供するためにインナーブランディングが極めて重要な役割を果たしています。

インナーブランディングとは、従業員が企業の理念や価値観を深く理解し、その精神を仕事に反映させることで、ブランドの価値を体現するプロセスのことを指します。

リッツカールトンでは全社員がブランドコンセプトを共有し、それを日々の業務で実践することにより、ブランドの一貫性を保ち、顧客への卓越したサービスを実現しています。

リッツカールトンにおけるインナーブランディングの重要性

リッツカールトンが優れたサービスを提供し続けることができるのは、インナーブランディングを戦略的に実施しているからです。従業員は、豊富なトレーニングを経てリッツカールトンのブランド理念を身につけ、各自の役割においてブランド価値を最大限に発揮するよう努力しています。

このプロセスを通じて、従業員は顧客に対し一貫した品質と感動を提供することができるのです。また、従業員それぞれがブランドの大使となり、外部だけでなく内部のコミュニケーションにおいてもブランド価値を高めるメッセージを発信し続けています。

結果として、社内のモチベーションの向上やチームワークの強化にも寄与しており、これが高い顧客満足度に直結しているのです。

リッツカールトンの社員へのホスピタリティ教育

リッツカールトンでは、卓越したサービスを提供するために、社員へのホスピタリティ教育に強く力を入れています。その狙いは、ブランドの認識を社員自身が深く理解し、それをお客様に対しても体現することです。

日々の業務を通じて、品質の高いサービスを提供し続けることが、リッツカールトンの強みであり、その根底には綿密な教育プログラムがあります。社員一人ひとりがリッツカールトンのミッションとバリューを身につけ、それを顧客体験に反映させることが重要視されているのです。

継続的な社員教育とホスピタリティの向上

リッツカールトンのホスピタリティ教育は、新人のオリエンテーションの段階から徹底して行われます。しかし、それに留まらず、継続的な教育プログラムを設けることで、社員が常に最高レベルのサービスを維持するよう支援しています。

例えば、毎日のスタンダップミーティングでは、その日の目標を共有し、ホスピタリティに関するインサイトや最新の事例を学ぶ時間が確保されています。

また、定期的なトレーニングセッションやワークショップを通じて、社員は接客スキルを磨き上げることができるのです。

リッツカールトンはこのような継続的な教育が、サービス品質の向上に不可欠であると考えており、社内教育体制を整えることに注力しています。

社員が学ぶホスピタリティの5つの原則

リッツカールトンが社員教育で重視しているホスピタリティの5つの原則とは、顧客志向、細部への注目、一流のマナー、プロ意識、そしてチームワークです。これらの原則は、社員がどのような状況でも優れたサービスを提供できるようにするための指針となっています。

顧客の期待を超えるために、社員はお客様のニーズや関心を理解し、行き届いたサービスを提供することが求められます。また、細部まで注意深く配慮し、品質を保つことで、顧客体験を豊かにすることができるのです。

社員はこれらの原則を日々の業務に活かすことで、リッツカールトンのブランド価値を実現しています。

リッツカールトンの社員が日々行うホスピタリティ実践

リッツカールトンでの社員教育は、実践的なアプローチを取ります。これは、リッツカールトンの高いホスピタリティ基準を体現するための重要なステップでもあります。

社員は、宿泊されるお客様の好みや要望を細かく把握し、それに基づいたサービスを展開します。

このような一人ひとりに合わせた配慮は、お客様に深い満足感を与えるとともに、リッツカールトンが提供する「ラグジュアリーな体験」というブランドの約束を守る行動なのです。

リッツカールトンにおけるサービスクオリティの向上

リッツカールトンでは、顧客の期待を超えるサービスを提供することで、顧客の心に残る経験を創出しています。そのためには、日々のサービスクオリティの向上が欠かせません。

彼らは綿密なサービスクオリティ管理と、従業員一人一人の意識向上を通じて、サービスのレベルを上げ続けることに注力しています。

リッツカールトンの持つ独自のサービス理念や、顧客への細やかな配慮が、他のホテルとの差別化に大きく寄与しています。結果として、世界中で高く評価されるブランド価値を維持し続けているのです。

サービスクオリティ管理のプロセス

リッツカールトンが実践するサービスクオリティ管理のプロセスは非常に徹底しています。まず、顧客からのフィードバックを常に収集し、それをサービス改善に活かす仕組みがあります。加えて、定期的な社員研修を実施し、サービスクオリティの基準を共有することで、全社員が高品質なサービスを提供することを心がけています。

また、社内にはクオリティマネジメントチームを設置し、サービス提供の各段階における品質管理を行っています。これらのプロセスを透明性を持って実施することで、社員の自主性と責任感を育て、サービスクオリティの継続的な向上を図っています。

結果、顧客に対して一貫した高水準な体験を提供できるように努力しています。

社員が貢献するサービス品質の具体例

リッツカールトンのサービス品質を支えるのは、一人一人の社員の尽力です。例えば、フロント係は迎えるゲストの名前を事前に覚え、個人を特別な存在として扱います。また、清掃スタッフは、客室のちょっとした配置の変更を通じてゲストの好みやニーズに応えます。あるいは、レストランサービスでは、リピーターの好みを記憶し、次回来店時にそれに合わせたサービスを展開することで、顧客の期待を超える努力をしています。

これらは、単なる職務の範囲にとどまらず、社員それぞれがリッツカールトンの価値観とサービス基準を体現し、ホスピタリティを追求することで成し得る品質です。

実際のインナーブランディング施策

リッツカールトンのインナーブランディングを具現化する施策としては、社員がそのブランドの大使として振舞えるような教育があります。

例えば、「デイリーラインアップ」と呼ばれるミーティングを毎日実施し、そこではリッツカールトンのクレド(使命宣言)や顧客から寄せられた賞賛の声を共有します。このような取り組みを通じて、社員たちは日々のサービスの中でブランド価値を体現することを肝に銘じています。

加えて、サービスプロミスカードを携帯させるなどのツールを用いて、彼らの行動にブランドの理念を反映させ、顧客に一貫したブランドイメージを提供することを目指しています。

インナーブランディングの成功事例

リッツカールトンにおけるインナーブランディングの成功事例を見てみましょう。インナーブランディングとは、社内でのブランド価値を従業員に共有し、従業員がブランドの大使となることを目指す経営戦略です。

リッツカールトンでは、従業員一人ひとりがブランドの価値を理解し、それを実践することで、顧客への卓越したサービスを提供しています。このような取り組みが、グローバルなホテルチェーンとしての地位を確固たるものにしているのです。

実際のインナーブランディング施策

リッツカールトンでは、従業員がブランドの価値を内面化し、顧客に提供するサービスを通じてそれを体現する、具体的なインナーブランディング施策を講じています。

例えば、「ゴールドスタンダード」と呼ばれるサービス基準が明文化され、これを全従業員が共有し理解しています。また、「デイリーラインアップ」という短いミーティングを毎日行い、その日の目標やブランドのメッセージを再確認します。

これにより、従業員は一丸となってブランド価値を高め、顧客への一貫したサービスを実現しているのです。さらに、従業員は自らの経験を共有し、お互いに学び励ましあう文化が醸成されています。

このような施策は、ブランドへの深い理解と従業員のモチベーション向上に大いに寄与していると言えるでしょう。

インナーブランディングこそ「ブランド」を作る

リッツカールトンは、まさにインナーブランディングを通じて「リッツカールトンブランド」を作ったといえます。

一つひとつの従業員教育がブランドになっている形は、まさにインナーブランディングの成功例といえます。

これらの施策は、中小企業でも実践できることです。

私たちむすび株式会社でも、多くの中小企業のインナーブランディングに成功しています。

以下に事例をまとめておりますので、そちらも参考にしてください。

深澤 了 Ryo Fukasawa
むすび株式会社 代表取締役
ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター

2002年早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。2015年早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年むすび設立。地域ブランディングプロジェクト「まちいく事業」を立ち上げ、山梨県富士川町で開発した「甲州富士川・本菱・純米大吟醸」はロンドン、フランス、ミラノで6度金賞受賞。制作者としての実績はFCC(福岡コピーライターズクラブ)賞、日本BtoB広告賞金賞、山梨広告賞協会賞など。雑誌・書籍掲載、連載多数。著書は「無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング」(幻冬舎)、「知名度が低くても”光る人材”が集まる 採用ブランディング完全版」(WAVE出版)。「どんな会社でもできるインナー・ブランディング まず教育、そして採用、業績アップ。鉄板の好循環をつくる」(セルバ出版)。

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