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2025.10.27

採用にも通ずる「企業のファン」とは?

採用にも通ずる「企業のファン」とは?

商品やサービスの質だけで差別化が難しくなった今、顧客・従業員・求職者の熱量や共感こそが企業の持続的な成長力となります。人手不足、価値観の多様化、SNS時代の拡散力といった現代ならではの課題も、ファンづくりによって乗り越えやすくなるのです。

この記事では「企業のファンとは何か」「どんなメリットがあり、どう生み出せるか」を具体的に紐解きます。

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企業のファンとは?

「企業のファン」とは、単に商品を買う・働くというだけでなく、その企業に強い愛着や応援の気持ちを持つ人々のことです。

ファンは企業と深い関係を築き、企業の変化や新たなチャレンジにも主体的に参加し、周囲への発信や支援まで自発的に行います。

顧客としてのファン

顧客ファンは、自社製品を長く使い続けるだけでなく、SNSやリアルな場面で友人・家族に積極的に勧める行動力を持ちます。

たとえば、限定商品の発売時に行列ができたり、ファンイベントに全国から集まるケースは、その企業に対する強い共感の表れです。さらに、ブランドのストーリーや理念への共感が購入行動を後押しします。

従業員や元従業員としてのファン

従業員ファンは、会社への帰属意識や誇りを持ち、日常の会話やSNSで自社の良さを自然に発信します。

元従業員でも、良い体験や人間関係が記憶に残っていれば、「前職の●●社には今でも感謝している」「また関わりたい」と思えるのが特徴です。実際、元社員が顧客やビジネスパートナーとして戻ってくる例もあり、長期的な信頼や推薦が新たな成長の原動力になります。

求職者や潜在的な応援者としてのファン

求職者や外部の応援者も企業ファンに含まれます。

たとえば、説明会やインターンで会社の雰囲気やビジョンに共感し、「今すぐ応募できなくても、いずれ働きたい」と思う可能性もあるでしょう。また、企業理念や社員の活躍ストーリーをSNSで見て応援したいと感じる層は、直接応募しなくても、口コミや紹介で企業ブランドを広げる存在となります。

企業のファンがもたらすメリット

ファンは企業にとって、商品を買ってくれるだけでなく、事業を支え、成長や変革の局面でも力になってくれる大切な存在です。ファンが生み出すメリットは多岐にわたります。

ブランド力・売上・持続的な成長

ファンが多い企業では、新商品発売のたびに期待や反応が集まり、広告費をかけずに口コミで拡散されます。ブランドの信頼性が高まり、リピート購入や継続利用につながるため、売上の安定と長期的な成長を実現できます。

たとえば、アップルやディズニー、ユニクロのように、ロイヤルカスタマーの存在が企業の成長を支えていくのです。

採用・定着・離職防止への好影響

ファン化した求職者は、企業の価値観や働く人の魅力に惹かれて入社します。入社後も理念や職場文化に共感しているため、定着率が高く、ミスマッチや早期離職が少なくなります。

さらに、社員が自社のファンになれば、友人や知人に自信を持って紹介できるので、リファラル採用や社内紹介も活発化していくでしょう。ファンが集まる職場は、人手不足時代にも強い組織を築けます。

コミュニティ形成・社会的信用の向上

企業ファン同士が交流できるコミュニティが生まれると、単なる顧客・従業員の枠を超え、イベントやSNSなどを通じて企業のブランド価値が社会に広がります。

また、ファンが自発的にSNSで企業を応援し、口コミやレビューが信頼の証となって新規顧客・求職者の獲得にも寄与します。危機やトラブル時にもファンが企業を擁護・支援してくれるため、社会的信用も高まっていきます。

ファンを生み出す企業の共通点

ファンを生み出す企業の共通点

企業のファンを増やしている会社には、理念や価値観の共有、体験価値の提供、発信環境の工夫など共通点が見られます。

理念や価値観の一貫した共有

理念や価値観は、単にポスターやスローガンにするだけでなく、現場の会話や意思決定の基準として一貫して使われているかどうかが重要です。

たとえば「顧客第一主義」であれば、クレーム対応や商品開発の現場で、その考えが本当に行動として現れているかが問われます。実際、理念が日々の業務や評価基準に落とし込まれている企業ほど、社内外のファンづくりに成功しています。

体験価値や従業員・顧客発信の積み重ね

企業のファン化には、「ただの取引」を超えた体験価値が必要です。

商品やサービスの品質はもちろん、イベント参加や工場見学、現場社員との交流、サポート体験など「印象に残る体験」がファン化を後押しします。また、従業員や顧客が自分の言葉で会社の良さや体験を発信できる環境(社内ブログ、SNS、口コミサイトなど)が整っている企業では、ファンの輪がどんどん広がります。

これからの企業経営とファン視点

これからの時代、企業のファンを増やすことは一過性のキャンペーンや採用施策にとどまりません。理念や価値観の一貫した発信、日常業務での体験づくり、そして社員や顧客が自然に発信したくなる環境づくりなどがファン化の軸になります。

ファン視点を持つ企業こそが、変化の時代に持続的な成長と信頼を獲得できます。

弊社のインナーブランディング事例はこちらをご確認ください。】

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深澤 了 Ryo Fukasawa
むすび株式会社 代表取締役
ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター

2002年早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。2015年早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年むすび設立。地域ブランディングプロジェクト「まちいく事業」を立ち上げ、山梨県富士川町で開発した「甲州富士川・本菱・純米大吟醸」はロンドン、フランス、ミラノで6度金賞受賞。制作者としての実績はFCC(福岡コピーライターズクラブ)賞、日本BtoB広告賞金賞、山梨広告賞協会賞など。雑誌・書籍掲載、連載多数。著書は「無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング」(幻冬舎)、「知名度が低くても“光る人材“が集まる 採用ブランディング完全版」(WAVE出版)。「どんな会社でもできるインナーブランディング」(セルバ出版)。「人が集まる中小企業の経営者が実践しているすごい戦略 採用ブランディング」(WAVE出版)

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