採用ブランディングや企業広報の現場で、「うちの会社の強みって何だろう？」という問いに直面する場面は多いものです。しかし、強みは外部の誰かが評価するものではなく、まず自分たち自身が納得し、語れる状態にすることが重要です。
客観的なスペックや資格よりも、現場の声や日々の体験の中にこそ自分たちらしい強みは眠っています。今回は、強みを見つける際の私達MUSUBI株式会社のサポートについて解説します。
強みを見つける際の進め方
強みを明確にするためには、まず社内メンバーが主役となるワークショップ型の手法が有効です。経営陣だけでなく、現場の社員や新しい仲間まで多様な視点を巻き込むことで、普段は見過ごされている小さな魅力やリアルな強みが浮かび上がってきます。
現場のリアルな声に耳を傾ける
「現場の○○さんが必ず挨拶する」「困っている時は部署を越えて助けてくれる」など、具体的な日常のエピソードが、その会社の雰囲気や文化を体現します。
ワークショップでは、なるべく多くの社員が自由に意見を出し合い、エピソードや心に残った出来事を言葉にする時間を設けましょう。経営層が想像もしなかった“会社の魅力”がそこから見えてくることも少なくありません。
より詳しくは、以下の記事もお読みください。
＞採用ブランディング・プロジェクトで「強み」を見つける“むすび”のやり方
“スペック”ではなく“価値観・文化”を重視
多くの会社が「駅から近い」「残業が少ない」などスペック型の特徴を強みとして打ち出しますが、実はそれだけでは差別化やファン化にはつながりにくいのが現実です。
他社と比較されやすいスペックよりも、「なぜその文化や価値観を大切にしているのか」「どんなエピソードが背景にあるのか」を重視することで、“その会社らしさ”が鮮やかに伝わります。
価値観をグルーピングし、本質を見極める
ワークショップでは出てきたキーワードやフレーズを「意味」でまとめ、グルーピングします。たとえば「チームワーク」「協力」「困った時に助け合う」は“協力・信頼”グループに整理できるでしょう。
単なる言葉の違いではなく、その言葉が現場でどんな意味を持っているかをみんなで考える時間が、深い納得感と共感につながります。
強みを自分たちの「柱」として選び抜く
グループ化した強みの中から、最終的に「自分たちが最も自信を持てる3つ」を選びます。このプロセスは、ただの言葉選びではなく、「自分たちはこれで勝負する」という意志を形にする大切な一歩です。
自信をもって語れる強みが会社の軸となる
どんなに客観的な評価や特許、実績がなくても、「この強みなら絶対に負けない」と社内で信じられているものがあれば、それがその会社の真の強みになります。
選び抜いた3つは、今後の採用や育成、社外広報における“旗印”となり、メンバー全員の当事者意識や自信を高めていくのです。
3つに絞っていく理由は、以下の記事を参考にしてください。
正しさよりも「当事者意識」が強みになる
ここで大切なのは、外部の評価や一般論よりも、「自分たち自身が心からその強みを信じているか」という当事者意識です。
強みを自分たちで選ぶプロセスに全員で参加することで、共感や納得感が高まり、自然と社内の一体感や自信へとつながります。
全員参加で自信と共感を育む
参加型で強みを言語化することで、経営者から現場スタッフまで同じ方向を向きやすくなります。誰か一人の声ではなく、みんなの意見や思いが集まって決まった“強み”は、その後の社内外への発信でも圧倒的な説得力を持つでしょう。
自信と納得の強みが“推される会社”をつくる
採用ブランディングや組織広報の基盤となる「強み」は、スペックや外部評価ではなく、自分たちで言葉にして納得したものこそが本物です。グルーピングと選び抜きのプロセスを通じて当事者意識を高め、現場でリアルに感じている価値を会社の軸に据えることで、独自の魅力と自信をもった“推される会社”となっていきます。
【弊社のインナーブランディング事例はこちらをご確認ください。】
深澤 了 Ryo Fukasawa
むすび株式会社 代表取締役
ブランディング・ディレクター／クリエイティブ・ディレクター
2002年早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー／コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ（現パラドックス）へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。2015年早稲田大学ビジネススクール修了（MBA）。同年むすび設立。地域ブランディングプロジェクト「まちいく事業」を立ち上げ、山梨県富士川町で開発した「甲州富士川・本菱・純米大吟醸」はロンドン、フランス、ミラノで6度金賞受賞。制作者としての実績はFCC（福岡コピーライターズクラブ）賞、日本BtoB広告賞金賞、山梨広告賞協会賞など。雑誌・書籍掲載、連載多数。著書は「無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング」（幻冬舎）、「知名度が低くても“光る人材“が集まる 採用ブランディング完全版」（WAVE出版）。「どんな会社でもできるインナーブランディング」（セルバ出版）。「人が集まる中小企業の経営者が実践しているすごい戦略 採用ブランディング」（WAVE出版）
