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レポート

2025.07.30

採用ブランディングの「見える化から共感・浸透」まで。

ブランディング

求人情報を掲載すれば応募が集まる。待遇や制度を整えれば人が採れる。

そんな時代はすでに終わりました。今、求職者が求めているのは、「どんな価値観の会社で、なぜそこで働くのか」という“意味”のある選択です。だからこそ、企業は自社の文化や想いをどう「伝えるか」に本気で向き合う必要があります。

この記事では、むすびが支援する3つの視点「見える化」「6段階の法則」「ケーススタディ」に基づいて、再現性のある採用ブランディングの考え方と実践方法を整理していきます。

採用ブランディングについて相談したい方はこちらから

採用ブランドを“見える化”することの意味

企業が持つ魅力や文化が、応募者にきちんと伝わっていない。それが採用における最大の障害のひとつです。見える化とは、経営者や現場の想い、組織の軸となる価値観を「言葉」として定義し、社内外に伝える設計を行うことを指します。

この見える化が、採用活動の第一歩であり、あらゆる発信や選考プロセスの土台になります。

数値や制度ではなく「考え方」で選ばれる時代

多くの企業は、自社の特徴として制度や福利厚生を挙げます。しかし、求職者が本当に知りたいのは「どんな想いを持った会社か」「どんな人たちと働くのか」です。表面的な条件だけでは、本質的なマッチングは起きません。

見える化は、企業の内側にある価値や文化を言葉にして伝える手段です。

経営者の想いを言語化する診断プロセス

むすびが提供する「見える化診断」では、1〜2時間のインタビューをもとに、理念・行動指針・ストーリー・採用キーワードを抽出し、企業の“らしさ”を言語化します。これにより、求人票や説明会資料、パンフレットなどが軸のあるものに変わり、採用全体の説得力が高まります。

内定承諾率を高める「6段階の法則」とSECIモデル

採用活動において「出会えたのに承諾されない」という問題に悩む企業は少なくありません。その背景には、“納得のプロセス”が設計されていないことがあります。むすびでは、内定承諾に至るまでに必要な「6つの段階」を定義しています。

この段階ごとの設計が、承諾率を高める再現性ある採用ブランディングを生み出す鍵になります。

ステップごとの体験設計が「納得感」を育てる

6段階の法則とは、以下のプロセスです。

  1. ヒアリング
  2. 伝える
  3. 社員との接点
  4. 本人と向き合う
  5. 具体的接点(体験・見学など)
  6. 意思決定

たとえば、ヒアリングで価値観を把握し、そこから相手に合った内容を伝える。実際に社員と会うことで“空気感”を体感し、自分にとっての働く意味を考える。このような流れがあるからこそ、「この会社で働く」と自ら決断できるのです。

SECIモデルとの一致が“知識から行動”への橋渡しになる

この6ステップは、野中郁次郎氏のSECIモデル(知識創造理論)と重なります。

  • S:共同化(社員との接点)
  • E:表出化(伝える、向き合う)
  • C:連結化(体験、接点づくり)
  • I:内面化(意思決定)

採用ブランディングは「理念や文化の知」を、応募者自身の意思や行動に変えるプロセスです。この知の変換こそが、共感採用の原理です。

ケーススタディの導入が「採用力の証明」になる理由

言葉や説明だけでは伝わらない企業の文化や思考。そこに“問い”としてのケーススタディを導入することで、応募者と企業の本質的な対話が可能になります。

ケーススタディは、企業の「問い」を通じて、自社らしさや価値観を伝える手法です。

ケーススタディで見える“思考の癖”と“価値観”

ある企業では、「新店舗立ち上げの際、どのようにメンバーを配置するか?」といった問いを通じて、応募者の考え方や判断軸を引き出しました。

正解のない問いに向き合うことで、単なるスキルや経験では見えない「らしさ」が浮かび上がります。

ケーススタディは「育成」「ブランド化」にも展開可能

採用だけでなく、入社後の研修や社内のナレッジマネジメントにも活用できるのがケーススタディの魅力です。

  • 面接時間の短縮
  • 理念の共有
  • 他社との差別化
  • 判断軸の明文化

これらすべてが、企業としての知を蓄積し、再利用できる資産に変わります。

採用ブランディングは「型」であり「対話」である

採用ブランディングは、単なる表現づくりではありません。企業が持つ価値観や文化を、言葉にし、体験に落とし、共感に変えていく知的プロセスです。

  • 見える化で「何を伝えるか」を整理する
  • 6段階の法則で「どの順番で伝えるか」を設計する
  • ケーススタディで「どう対話するか」を深める

この3つを組み合わせることで、納得感のある採用が可能になります。

むすびでは、これらをサポートし、企業と応募者の“意味ある出会い”を後押ししています。採用に悩むすべての企業にとって、自社の文化と真摯に向き合うことこそが、最良のブランディングです。

弊社のインナーブランディング事例はこちらをご確認ください。】

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深澤 了 Ryo Fukasawa
むすび株式会社 代表取締役
ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター

2002年早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。2015年早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年むすび設立。地域ブランディングプロジェクト「まちいく事業」を立ち上げ、山梨県富士川町で開発した「甲州富士川・本菱・純米大吟醸」はロンドン、フランス、ミラノで6度金賞受賞。制作者としての実績はFCC(福岡コピーライターズクラブ)賞、日本BtoB広告賞金賞、山梨広告賞協会賞など。雑誌・書籍掲載、連載多数。著書は「無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング」(幻冬舎)、「知名度が低くても“光る人材“が集まる 採用ブランディング完全版」(WAVE出版)。「どんな会社でもできるインナーブランディング」(セルバ出版)。「人が集まる中小企業の経営者が実践しているすごい戦略 採用ブランディング」(WAVE出版)

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