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レポート

2025.09.02

ブランディングに必要なファン化の構造

現代の企業経営やブランド戦略を考えるとき、「いかにしてお客様と良い関係をつくるか」は欠かせないテーマです。SNSの発達や価値観の多様化により、単に商品やサービスを提供するだけでは長期的な支持を得られなくなっています。

いわゆる「推し」や「ファン」と呼ばれる熱烈な支持者が生まれる企業には、一見すると特別な秘密があるように見えますが、実はお客様と企業の関係の間に存在する「従業員」の役割こそが大きなカギを握っています。

本記事では、ファンが生まれる仕組みや、従業員が果たす現場でのリアルな役割、そして企業・従業員・お客様それぞれが影響し合う三者のつながりについて、具体的に解説します。

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「お客様との良い関係」が企業を成長させる理由

お客様と良い関係を築くことは、多くの企業がブランド力を高める上で重要と考えています。しかし、単に商品やサービスが優れているだけでなく、「なぜ応援されるのか」「どこに差が生まれるのか」という視点を持つことが大切です。

以下では、ファンが自然と生まれる企業の特徴を解説しつつ、その背景にある“現場の存在”についても触れていきます。

「推される」ブランドはどう生まれるか

ブランドにファンが生まれる背景には、お客様が自発的に「応援したくなる」仕組みがあります。たとえばディズニーランドやappleでは、ユーザーがイベントでコスチュームを着たり、発売日に行列したりといった現象が見られます。

これは一方的なマーケティングではなく、お客様自身がブランドを「自分ごと化」し、自発的な行動を取るからこそ実現するものです。こうした推し文化やファン行動が企業の価値や売上を押し上げています。

企業とお客様をつなぐ「従業員」という存在

とお客様をつなぐ「従業員」という存在

ブランドとお客様の良い関係は、実は直接成り立つものではありません。多くの場合、両者の間には「従業員」という存在が不可欠です。

どれほど優れた理念や戦略があっても、それを現場で体現し、お客様に伝えるのは従業員です。以下では、従業員の役割がいかにブランド価値を左右するかを、現実的な視点で掘り下げます。

従業員が現場でブランドを届ける

たとえば飲食店や小売店では、商品そのものよりもスタッフの対応や気配りが顧客の満足度やロイヤルティに直結します。サービス業だけでなく、BtoBや製造業でも、現場スタッフの声掛けや提案、ちょっとした対応がブランド体験そのものを左右します。

経営層やマーケティング担当が描いた世界観を、実際に顧客に届けているのは従業員です。従業員のやりがいや満足度が高いほど、ブランドの思いや価値観も自然とお客様に伝わりやすくなります。

三者のつながりが強いブランドをつくる

従来のブランド論は「企業と顧客」だけを語りがちでした。しかし、現場の従業員を抜きにしては、真の意味でのファンづくりやブランド強化は実現しません。

今、必要なのは「企業」「従業員」「お客様(そして求職者)」が相互に影響し合う三者の関係です。以下では、現場のリアルや、採用・組織づくりも含めた新しい関係性について解説します。

従業員を軸に共感が循環する仕組み

お客様の信頼を得るには、まず従業員が「自社や仕事に共感」し、納得感ややりがいを持って働けていることが不可欠です。その姿が自然とお客様にも伝わり、ファンやリピーターを生みます。

そして、その姿を見た求職者も「ここで働きたい」と感じて集まる、という好循環が生まれます。従業員満足・顧客満足・採用力はすべてつながっており、今後の企業経営には三者のバランスが欠かせません。

ブランディングは三者の関係が不可欠

お客様と良い関係を築くためのブランド論やファンづくりは、どの企業にとっても大きな課題です。しかし実際に、お客様の心を動かし、ファンとして巻き込んでいくのは現場の従業員の存在です。

経営者やマーケティング担当者がどれだけ理念や仕掛けを考えても、それをお客様に届けるのは現場で日々向き合うスタッフです。そして従業員自身が「ここで働く意味」や「ブランドへの共感」を持ち、いきいきと働ける環境がなければ、本当の意味でブランド力を高めることはできません。

今後の企業経営では、「企業」「従業員」「お客様(さらに求職者)」がそれぞれ信頼し合い、共感でつながる三者の関係性が不可欠です。小手先の戦略や一方的な発信だけに頼らず、現場・お客様・採用現場すべてをつなぐ仕組みづくりを目指すことが、持続的なブランド成長の本質となります。

弊社のインナーブランディング事例はこちらをご確認ください。】

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深澤 了 Ryo Fukasawa
むすび株式会社 代表取締役
ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター

2002年早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。2015年早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年むすび設立。地域ブランディングプロジェクト「まちいく事業」を立ち上げ、山梨県富士川町で開発した「甲州富士川・本菱・純米大吟醸」はロンドン、フランス、ミラノで6度金賞受賞。制作者としての実績はFCC(福岡コピーライターズクラブ)賞、日本BtoB広告賞金賞、山梨広告賞協会賞など。雑誌・書籍掲載、連載多数。著書は「無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング」(幻冬舎)、「知名度が低くても“光る人材“が集まる 採用ブランディング完全版」(WAVE出版)。「どんな会社でもできるインナーブランディング」(セルバ出版)。「人が集まる中小企業の経営者が実践しているすごい戦略 採用ブランディング」(WAVE出版)

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