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レポート

2025.12.04

レポート|共鳴経済について

2025年12月2日、むすび株式会社代表取締役『深澤 了』が御茶ノ水にて「共鳴経済」に関するセミナーをおこないました。

本レポートでは当日の発表内容と議論の要点をお伝えします。

採用ブランディングについて相談したい方はこちらから

共鳴経済とは何か

共鳴経済の核となるのは、「従業員が真ん中にいる経済圏」の発想です。これまでの企業活動は、会社と顧客の関係が主軸でしたが、共鳴経済では従業員を中心に据え、企業・従業員・顧客、さらに求職者がつながりあう三者関係で成り立っています。

この“共鳴経済圏”を成立させるには、理念・歴史・品質・体験価値・デザイン(見た目)の5つの要素が必要不可欠です。

なぜ従業員が真ん中なのか?

多くの組織論やマーケティング論が顧客視点を重視する一方で、実際に会社のビジョンや価値を現場で伝えるのは従業員自身です。

従業員が共鳴し、顧客や求職者へ熱量を持って会社を語ることが、強いブランド経済圏の構築につながります。

共鳴のメカニズムと“推し”の力

共感と共鳴は似て非なるものです。共感は「そうだね」と理解するだけにとどまりますが、共鳴は「自分も動きたくなる」という行動を伴います。

今や“推し活”が社会に浸透し、ファンは自発的に時間やお金を投じて応援します。この「推される状態」を企業が実現できれば、人材難の時代にも人が集まり、選ばれる会社へと進化します。

推し活と経済圏

推し活はアイドルだけのものではありません。ファンが自発的に行動し、幸せや仲間意識まで感じられる状態が生まれます。

このメカニズムを企業運営にも応用し、従業員・顧客・求職者の三者で独自の共鳴経済圏をつくるのが共鳴経済の本質です。

理念共感が会社を強くする

調査結果からも明らかになったのは、採用時に会社の理念へ共感して入社した人ほど、入社後も高いパフォーマンスや貢献実感、さらには自分の使命感へとつながることです。理念共感と活躍には明確な因果関係があり、この仕掛けづくりこそ採用ブランディングの要です。

ブランド論との接点

ブランドレゾナンスピラミッド(ケラー)でも、ブランドの最上位概念は「共鳴」状態と伝えています。顧客や社員が積極的にブランドに関わる状況が理想です。

会社は「推し」をつくることで独自性を獲得する

従来の資本主義経済では、より多くの人に商品を買ってもらう発想が主流でしたが、共鳴経済では一人の熱量が100倍の価値を生みます。ファンや従業員が「推し」として会社を語り、繰り返し選んでくれる構造ができれば、無理な母集団集めに頼らずとも事業が成長します。

選ばれる企業になるためのポイント

企業のビジョンや価値観をあらゆる接点で明確に打ち出し、好き嫌いの議論を恐れず個性を見せていくことが重要です。給与や条件で勝負するのではなく、共鳴を軸とした採用・組織設計こそ差別化の源泉です。

フリーランス・業務委託も仲間として巻き込む時代

業務委託やフリーランスが増加する現代では、彼らも共鳴経済圏の重要な構成員です。会社の理念や価値観に共感して集まるコミュニティが強みになり、単なる雇用関係を越えたつながりが成果を生み出します。

採用力=口説く力へ。バズより「活躍」重視

多くの企業は未だに「母集団を集めればなんとかなる」と考えがちですが、実際には“惚れて入社した人”ほど活躍します。知名度やバズ狙いの採用広報より、一貫性・強さ・好ましさ・ユニークさで魅せる採用ブランディングが有効です。

共鳴経済がつくる未来

今回の学会発表を通じて、企業は従業員を中心に据えた共鳴経済圏を構築し、「推される会社」を目指すべきだというメッセージが伝えられました。ビジョン・理念・強み・体験価値を一貫して届けること。これが、現代企業に求められる採用・組織・顧客戦略の統一理論です。

共鳴経済について詳しくは、深澤のnoteもご確認ください。

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弊社のインナーブランディング事例はこちらをご確認ください。】

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深澤 了 Ryo Fukasawa
むすび株式会社 代表取締役
ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター

2002年早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。2015年早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年むすび設立。地域ブランディングプロジェクト「まちいく事業」を立ち上げ、山梨県富士川町で開発した「甲州富士川・本菱・純米大吟醸」はロンドン、フランス、ミラノで6度金賞受賞。制作者としての実績はFCC(福岡コピーライターズクラブ)賞、日本BtoB広告賞金賞、山梨広告賞協会賞など。雑誌・書籍掲載、連載多数。著書は「無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング」(幻冬舎)、「知名度が低くても“光る人材“が集まる 採用ブランディング完全版」(WAVE出版)。「どんな会社でもできるインナーブランディング」(セルバ出版)。「人が集まる中小企業の経営者が実践しているすごい戦略 採用ブランディング」(WAVE出版)

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