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2025.10.29

なぜ採用現場に「共鳴経済」の概念が必要なのか?

なぜ採用現場に「共鳴経済」の概念が必要なのか?

採用活動に取り組む現場では「思ったように人が集まらない」「入社してもすぐ辞めてしまう」といった悩みが急増しています。人手不足が深刻化し、従来の方法が効かなくなった今、企業は根本的な採用戦略の見直しを迫られています。

本記事では、なぜ共鳴経済が今必要なのか、その理由と現場で起きている変化を具体的に解説します。

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採用の現場で起きている「危機」とは

企業の多くが採用難や定着率の低下、早期離職の増加といった課題に直面しています。特にここ数年は、募集をかけても応募が集まりにくくなり、ようやく採用できても早期に辞めるケースが目立っています。

現場からは「人がいないと現場が回らない」「採用コストが上がるばかりで成果につながらない」という声が聞こえ、企業経営そのものにも影響が及んでいます。単なる人員確保から、いかに「共鳴する人材を惹きつけ、定着・活躍してもらうか」が大きなテーマとなっています。

今なぜ共鳴経済が必要なのか

採用の常識が大きく変わる中、「共鳴経済」の視点は確実に求められます。単に条件や待遇を整えても、求職者の心は動かなくなっています。

共感や推しの構造を採用活動に取り入れることが、今の時代の採用成功に直結する理由です。

「推される」会社でなければ人が集まらない

今の求職者は、ただ条件が良いからという理由だけで応募しません。SNSや口コミで企業の実態を見極め、「自分もここで働きたい」と思える推される会社にだけ関心を持ちます。

企業側が「選ばれる存在」になることが、採用活動のスタート地点になっています。

共感・体験・理念が採用成功の分岐点

採用段階で理念やビジョンが現場の言葉で伝わっているか、リアルな職場体験ができるかが、求職者の応募や定着の分かれ道です。採用説明会やインターンなど、単なる情報提供ではなく「体験・共感」を重視する設計が不可欠です。

これまでの採用が通用しない理由

従来型の採用手法は今、様々な面で限界を迎えています。その最大の理由は、求職者側の価値観の変化と情報社会の進展です。

求職者の価値観が大きく変わった

以前は「安定」や「給与」「休日」などが仕事選びの主な基準でしたが、今は「自分らしく働きたい」「会社の考え方に共感できるか」が重視されるようになっています。若い世代を中心に、働く意味ややりがいに目を向ける人が増えています。

条件や待遇だけでは惹きつけられない時代

待遇や福利厚生を充実させても、それだけで採用力は上がりません。企業の価値観や働く現場の雰囲気、実際の社員の声など、条件以外の要素が「応募したい」と思わせる決め手になります。

「この会社で働く意味」を求める人が増えた

求職者は「この会社でどんな経験ができるか」「何を実現できるか」を重視しています。面接や会社説明会で働く意味や将来像を伝えられない企業は、他社との差別化が難しくなっています。

企業が直面する新たな課題

採用現場で起きている変化は、単なる採用活動の見直しだけでなく、組織全体のマネジメントやカルチャーにまで影響を及ぼしています。

採用しても定着しない

せっかく採用しても、共感や成長実感がなければ短期間で辞めてしまいます。入社前と現場のギャップが大きい場合、ミスマッチによる離職が増加します。

組織の一体感がつくれない

従業員一人ひとりの想いや価値観を無視したまま人を集めても、現場での一体感は生まれません。理念や価値観をすり合わせ、全員が納得できる共通言語を作ることが求められます。

「ファン」が生まれない会社の共通点

商品やサービスのファンだけでなく、従業員や元社員も「自社のファン」になれる環境が必要です。これがない会社は、採用・定着・成長すべてで苦戦しやすくなります。

三者(企業・従業員・顧客)の共鳴が組織を変える

企業・従業員・顧客の三者がそれぞれ共感し合うことで、組織に強い一体感と推進力が生まれます。ファン化した社員が自発的に発信し、顧客や新たな仲間を呼び込む好循環が生まれるのです。

共鳴経済で会社のあり方は変わる

今、採用の現場では「人を集める」から「共鳴する人材を集める」への転換が急務です。条件や打ち出し方だけでなく、理念・体験・現場のリアルを軸に「共鳴経済」が求められています。

これからの時代は、推される会社=選ばれる会社。採用のあり方そのものを見直すことが、企業の持続的成長のカギとなります。

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深澤 了 Ryo Fukasawa
むすび株式会社 代表取締役
ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター

2002年早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。2015年早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年むすび設立。地域ブランディングプロジェクト「まちいく事業」を立ち上げ、山梨県富士川町で開発した「甲州富士川・本菱・純米大吟醸」はロンドン、フランス、ミラノで6度金賞受賞。制作者としての実績はFCC(福岡コピーライターズクラブ)賞、日本BtoB広告賞金賞、山梨広告賞協会賞など。雑誌・書籍掲載、連載多数。著書は「無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング」(幻冬舎)、「知名度が低くても“光る人材“が集まる 採用ブランディング完全版」(WAVE出版)。「どんな会社でもできるインナーブランディング」(セルバ出版)。「人が集まる中小企業の経営者が実践しているすごい戦略 採用ブランディング」(WAVE出版)

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