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2025.12.02

採用ブランディングに欠かせない「共鳴経済」という考え方

企業活動の中心が、顧客や市場ばかりに向いていた時代から、いま大きな転換が始まっています。共鳴経済とは、従業員を組織の中心に据え、企業・従業員・顧客・求職者が三位一体となって価値を生み出す経済圏のことです。

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共鳴経済圏の仕組み

共鳴経済圏は、「会社と従業員」「従業員と顧客」「従業員と求職者」という三つの関係性を軸に回ります。従来の組織論やマーケティングでは「企業と顧客」の2者関係が中心でしたが、共鳴経済では、従業員が主役となり、その存在と声が組織の強さや独自性を生み出します。

従業員が会社のビジョンや歴史を深く理解し、自分の言葉で語ることで、説明会や面接、日々の仕事の場面でも「共鳴」の連鎖が起きるのです。

5つの要素が共鳴経済圏を支える

共鳴経済圏を実現するには、次の5つの要素が欠かせません。

  • 理念
  • 歴史
  • 品質
  • 体験価値
  • デザイン(見た目)

これらの要素は、会社と従業員、従業員と顧客、従業員と求職者のそれぞれの関係で応用されます。たとえば、従業員が理念や歴史に誇りを持つことで、求職者や顧客にもそのストーリーや信念がリアルに伝わります。

品質や体験価値、デザインも、全ての関係性において“選ばれる理由”や“推されるきっかけ”となります。

従業員のリアルな体験が価値を生む

特に近年は、採用イベントやSNS発信の現場でも、現場社員のリアルな声や体験談が求職者・顧客の心を動かしています。単なるスローガンや制度説明だけでは伝わらない温度や実感が、従業員の言葉や態度から生まれるのです。結果、会社のファンや共鳴する仲間が自然に増えていきます。

共鳴経済が必要とされる理由

なぜ、今この「共鳴経済圏」という考え方が求められるのでしょうか。ひとつは、企業が従業員を「ただの労働力」として扱い、施策や発信の中心から外してきたことが、組織の活力や競争力の低下につながっているからです。さらに、人材獲得競争が激化する中で、条件や待遇だけでは惹きつけられない時代に突入しています。

従業員の「共鳴」が会社の成果を変える

マーケティングや採用の現場で、SNSや動画を活用する施策が盛んですが、そこに従業員が主体的に関わっていなければ本当の意味での発信力や共感力は生まれません。

従業員が会社の理念や価値観を自分の言葉で語り、行動として表すことで、求職者や顧客も自然と「この会社で働きたい」「この会社の商品を選びたい」と感じるようになります。

母集団主義の限界と、共鳴経済圏の強み

採用の現場では「大きな母集団を集めれば採用できる」という発想が根強いですが、ただ数を集めるだけでは、本当に自社に合った人材は集まりません。ビジョンや価値観で「共鳴」した人材が集まり、そこから強い組織やブランドが育ちます。

給料や福利厚生で勝負するのではなく、どれだけ価値観や理念に共鳴してもらえるかが、会社の成長を決める時代です。

中小企業こそ「共鳴経済圏」で勝てる

知名度や条件で大企業と張り合うのは難しい中小企業こそ、理念や物語、リアルな体験を従業員が自分の言葉で発信できる共鳴経済圏をつくることで、“自社らしさ”で選ばれる時代を切り開けます。

現場の温度感を伝えることで、共感・共鳴する仲間や顧客が自然に集まり、結果として高い定着率やロイヤルティ、利益率の向上にもつながります。

従業員が主役の時代へ

共鳴経済は、企業・従業員・顧客・求職者の三位一体で価値を高め合う新しい経済圏の在り方です。従業員が真ん中にいることで、会社の理念や歴史、体験価値、デザイン、品質が“伝わる力”に変わります。

大企業のように知名度や条件で勝負するのではなく、自社らしさを従業員が語り、共鳴を起点とした採用やマーケティングを実践すること。これこそが、これからの時代に求められる会社の新しい成長戦略です。

弊社のインナーブランディング事例はこちらをご確認ください。】

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深澤 了 Ryo Fukasawa
むすび株式会社 代表取締役
ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター

2002年早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。2015年早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年むすび設立。地域ブランディングプロジェクト「まちいく事業」を立ち上げ、山梨県富士川町で開発した「甲州富士川・本菱・純米大吟醸」はロンドン、フランス、ミラノで6度金賞受賞。制作者としての実績はFCC(福岡コピーライターズクラブ)賞、日本BtoB広告賞金賞、山梨広告賞協会賞など。雑誌・書籍掲載、連載多数。著書は「無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング」(幻冬舎)、「知名度が低くても“光る人材“が集まる 採用ブランディング完全版」(WAVE出版)。「どんな会社でもできるインナーブランディング」(セルバ出版)。「人が集まる中小企業の経営者が実践しているすごい戦略 採用ブランディング」(WAVE出版)

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