経営者の3割が見落とす「採用課題の死角」|経営者465名と現場200名のギャップ

経営者の3割が見落とす「採用課題の死角」|経営者465名と現場200名のギャップ

採用がうまくいかない会社ほど、経営者は「課題はない」と考えがちです。経営者465名の3割が採用課題をゼロと答えた一方、同じ現場で採用に関わる社員は0.7〜0.8個多く課題を挙げていました。何が課題かの順位はほぼ一致します。ズレているのは、詰まりが見えている数です。この死角が、打ち手を止めています。

この記事の目次

  1. 同じ会社を、経営者と現場の両方に聞いた
  2. 経営者の3割が「課題はない」と答えた
  3. 順位は一致するのに、見えている数が違う
  4. 現場だけが見ている詰まり|協力体制と要件のあいまいさ
  5. 死角を埋める|現場のリストを吸い上げる
  6. よくある質問(FAQ)
  7. まとめ|採用は、全社一丸で見て初めて絵が揃う

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同じ会社を、経営者と現場の両方に聞いた

採用課題は、誰に聞くかで景色が変わります。だから今回は、立場の違う2者に同じ設問を投げました。

私たちは採用実態調査2026で、全国の経営者・役員465名と、実際に採用実務に関与する社員200名に、まったく同じ26項目の採用課題を尋ねました。母集団が集まらない、質が低い、選考途中で離脱する、内定を出せる人がいない、内定辞退が高い、人事以外の部署が協力しない。こうした選択肢から、当てはまるものをすべて選んでもらう形式です。同じ会社の中でも、経営の椅子から見える採用と、現場の手元で回している採用は、同じではありません。その差を数字で可視化することが狙いでした。

経営者の3割が「課題はない」と答えた

最初に目を引いたのは、課題ゼロと答えた割合の差でした。経営者に、大きな死角が潜んでいます。

新卒採用について「あてはまる課題はない」と答えた割合は、経営者で29.6%、現場社員で14.8%でした。中途では経営者33.2%に対し、現場は15.3%です。つまり経営者のおよそ3割は、採用に課題を感じていません。しかし同じ現場を回している社員は、その半分ほどしか「課題なし」と言いませんでした。経営の視点からは順調に見える採用が、現場では詰まりを抱えている。この非対称が、多くの企業に共通する構造でした。

順位は一致するのに、見えている数が違う

ここで重要なのは、経営と現場が対立しているわけではないという点です。ズレているのは中身ではなく、解像度です。

課題1件あたりの平均を数えると、新卒では経営者が1.84個に対し現場が2.50個、中途では経営者1.58個に対し現場2.42個でした。現場は経営者より0.7個から0.8個多く課題を認識しています。課題を3個以上挙げた割合も、新卒で経営者28.3%に対し現場40.6%と開きました。一方で、どの課題が上位に来るかという順位は、経営と現場でほぼ完全に一致します。課題選択率の相関は新卒で0.95、中途で0.89でした。何が問題かは共有できているのに、いくつ詰まっているかの見え方だけが違う。経営者は詰まりを少なく見積もっているのです。

経営と現場で採用課題の認識が揃っているか確かめたい方は、この段階で一度無料相談をご利用ください。現状を伺い、ズレの正体を一緒に言語化します。

現場だけが見ている詰まり|協力体制と要件のあいまいさ

数の差は、特定の課題に偏っていました。現場が強く実感しているのは、経営から見えにくい種類の詰まりです。

経営者と現場で認識の差が最も大きかった課題は、「人事部以外の部署が採用に協力してくれない」でした。新卒で現場が8.6ポイント高く挙げています。加えて、母集団形成や説明会への参加、そしてどんな人を採るかという要件のあいまいさも、現場のほうが強く感じていました。いずれも、日々候補者と向き合う現場でしか体感しにくい詰まりです。経営者が「採用は順調だ」と考えているあいだ、現場は協力の得られなさや要件の揺れに足を取られている。採用は人事だけのタスクではなく、全社一丸で同志を迎え入れる営みです。「人が集まる中小企業の経営者が実践している、すごい戦略 採用ブランディング 新版」(WAVE出版)でも書きましたが、社長が採用の先頭に立ち、全社を巻き込むことが最初の条件になります。
https://www.musubi-inc.co.jp/musubi-books/saiyou-branding-sugoi-senryaku-2024

死角を埋める|現場のリストを吸い上げる

死角を埋める方法は、難しくありません。順位が一致しているのだから、あとは現場が見ている数を経営が受け取るだけです。

私が最初に勧めるのは、現場の採用担当者3人へのヒアリングです。直近の採用で何が詰まったか、どの部署の協力が足りなかったか、どんな人を採るかで意見が割れなかったかを、経営者が自分の耳で聞きます。現場が挙げる課題のリストを吸い上げれば、経営が見落としていた0.7個から0.8個の詰まりが表に出ます。そのうえで、他部署の協力体制を採用の設計に組み込み、ほしい人物像を1枚の言葉に統一する。経営と現場の絵が揃った瞬間に、打ち手は上流で止まらず、成果に効く下流の設計まで届きます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 経営者と現場で、採用課題の認識はどれくらい違いますか。
何が課題かの順位はほぼ一致します。課題選択率の相関は新卒で0.95でした。違うのは数です。現場は経営者より平均0.7個から0.8個多く課題を挙げ、経営者の約3割は「課題はない」と答えていました。

Q2. なぜ経営者は課題を少なく見積もるのですか。
経営の視点からは全体の数字が見えても、現場でしか体感できない詰まりは届きにくいためです。特に他部署の協力体制や要件のあいまいさは、日々候補者と向き合う現場でこそ認識されます。

Q3. 現場が最も強く感じている課題は何ですか。
経営者との差が最も大きかったのは「人事部以外の部署が採用に協力してくれない」で、新卒で現場が8.6ポイント高く挙げました。母集団形成や要件のあいまいさも、現場のほうが強く実感していました。

Q4. 認識ギャップを埋めるには何をすればよいですか。
現場の採用担当者へのヒアリングから始めてください。順位は一致しているので、現場が見ている数を経営が吸い上げるだけで、打ち手の精度が上がります。特別なツールは不要です。

Q5. 採用は人事に任せておけばよいのではありませんか。
任せきりにすると、現場が抱える協力体制の課題が経営に届かず、死角が放置されます。採用は全社一丸で取り組む経営の最優先事項です。社長が先頭に立ち、他部署を巻き込むことで、現場の詰まりが解けます。

まとめ|採用は、全社一丸で見て初めて絵が揃う

経営者465名と現場社員200名の調査が示したのは、採用課題の順位は一致するのに、見えている数が違うという事実でした。経営者の3割は課題ゼロと答え、現場は0.7個から0.8個多く詰まりを認識しています。この死角を放置すると、打ち手は上流で止まります。現場のリストを吸い上げ、経営と現場の絵を揃えることが、成果に効く下流の設計への入口です。

自社の採用を経営と現場の両面から見直す準備ができた方は、無料相談からお気軽にご連絡ください。書籍著者の深澤了をはじめとする専門チームが、最短の一手を一緒に描きます。

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著者プロフィール

深澤 了 Ryo Fukasawa
むすび株式会社 代表取締役
ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター
早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年むすび設立。地域ブランディングプロジェクト「まちいく事業」を立ち上げ、山梨県富士川町で開発した「甲州富士川・本菱・純米大吟醸」はロンドン、フランス、ミラノで6度金賞受賞。制作者としての実績はFCC(福岡コピーライターズクラブ)賞、日本BtoB広告賞金賞、山梨広告賞協会賞など。学術論文7編(査読付き)。雑誌・書籍掲載、連載多数。著書は「無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング」(幻冬舎)、「知名度が低くても"光る人材"が集まる 採用ブランディング完全版」(WAVE出版)。「どんな会社でもできるインナーブランディング」(セルバ出版)。「人が集まる中小企業の経営者が実践している、すごい戦略 採用ブランディング 新版」(WAVE出版)。国立大学法人富山大学とウェルビーイングに関する共同研究「幸福を超える共鳴」。2025年、新理論「共鳴経済」を日本マーケティング学会にて発表。2026年「共鳴経済 社員が"推す"会社が伸びる」(サンクチュアリ出版)を刊行。