REPORTS

レポート

2025.10.13

採用ブランディングの落とし穴。理念共感した社員が離職する理由

採用ブランディングの落とし穴。理念共感した社員が離職する理由

「理念やビジョンに共感して入社したのに、すぐ辞めてしまう人がいる」

そんな悩みはどの企業でも生じます。給与や労働条件ではなく、仕事への楽しさや成長、やりがいを求めて離職する人も多いのが現実です。

本記事では、共感だけでは定着しない理由と、やりがいの重なりを大きくする具体的な仕組み、現場で使えるコミュニケーションの工夫を幅広く解説します。

採用ブランディングについて相談したい方はこちらから

共感入社の落とし穴と離職の現実

企業理念やトップの想いに共感して入社する人が増えていますが、それだけで長く活躍できるとは限りません。

  • 仕事が楽しくなくなった
  • 成長の実感が薄れた
  • やりがいが感じられない

こうした理由での離職は決して珍しくありません。

共感だけではやりがいは続かない

共感は大きなモチベーション源ですが、日々の業務や役割で実感できるやりがいや成長感がないと、徐々に心が離れてしまいます。

会社のビジョンに共感していても、自分の人生の目標や成長と重なる部分が薄いと、もっと挑戦できる場を求めて転職を選ぶケースが多いです。

辞め方が「正常」であるかどうかを判断する

物足りなさや学びのなさを感じて辞める人は、自分の成長ややりがいを正直に求めて行動しているとも言えます。これは決してネガティブな辞め方ではありません。

会社側も「なぜ離職につながったのか」を冷静に分析し、現場の声やキャリア志向を聞く姿勢が必要です。

やりがいの重なりを生み出す組織づくり

長期定着や高いパフォーマンスを引き出すためには、会社の目指すビジョンと、社員一人ひとりの人生の目標や価値観が重なる瞬間を増やすことが大切です。仕組みやコミュニケーションの工夫で、その重なりをどう生むかが重要な経営課題です。

ビジョン・ミッションを現場の言葉で語る

ビジョンやミッションは抽象的なスローガンでなく、現場社員やマネージャーの具体的なエピソードや体験談とセットで語ると、実感を持って伝わります。

「この事業が地域にどんな影響を与えているか」「実際のプロジェクトで得た学び」など、現場に近い言葉を使うことで、社員の自分ごと化が進みます。

1on1やキャリア面談

定期的な1on1やキャリア面談で、社員の「これからやりたいこと」や「今後の目標」を深掘りして共有します。たとえば「どんなキャリアを描きたいか」「今の仕事で楽しい瞬間は?」など、本人の価値観や志向を引き出す問いかけを重ねることで、会社側も支援策を考えやすくなります。

ジョブローテーション・新規プロジェクトへの挑戦

今のポジションで学びや成長が止まりそうな社員には、他部署へのジョブローテーションや新規事業・プロジェクト参加のチャンスを用意します。

多様な経験や役割を与えることで、個人と組織の重なりを広げることができます。実際に、若手社員が別部署に挑戦し「新しいやりがいを見つけた」という例は多く見られます。

ミスマッチを防ぐための採用

ミスマッチを防ぐための採用

そもそも入社前後での期待のズレを減らす工夫も重要です。採用段階や入社後のオンボーディングで、会社のリアルな姿や「求める成長像」をしっかり伝えることが、定着率向上につながります。

採用段階でのリアルな情報提

求人情報や面接で「うちの現場はこういうことが大変」「こういう成長機会がある」など、理想だけでなく現実の難しさや課題も開示します。入社後のギャップを防ぐことで、共感だけでなく納得感を持ったうえで入社する人が増え、早期離職の予防にもなります。

オンボーディングで成長の見える化

新入社員が入社後に「何を経験できるか」「どう成長できるか」を見える化し、現場のOJTやメンター制度で実感を持てるように設計します。先輩社員の体験談や失敗談も共有し、「成長の道筋」をリアルに感じさせることで、やりがいの重なりを強化します。

個人と会社の「重なり」が定着のカギ

共感や理念だけでは長期定着は難しく、個人の人生目標と会社のビジョンが重なる機会・体験をいかに増やすかが本質です。

対話や挑戦機会、リアルな情報提供を組み合わせながら、両者の重なりを大きくする工夫こそが、長く働き続ける人材を増やす道です。

弊社のインナーブランディング事例はこちらをご確認ください。】

sai2

深澤 了 Ryo Fukasawa
むすび株式会社 代表取締役
ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター

2002年早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。2015年早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年むすび設立。地域ブランディングプロジェクト「まちいく事業」を立ち上げ、山梨県富士川町で開発した「甲州富士川・本菱・純米大吟醸」はロンドン、フランス、ミラノで6度金賞受賞。制作者としての実績はFCC(福岡コピーライターズクラブ)賞、日本BtoB広告賞金賞、山梨広告賞協会賞など。雑誌・書籍掲載、連載多数。著書は「無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング」(幻冬舎)、「知名度が低くても“光る人材“が集まる 採用ブランディング完全版」(WAVE出版)。「どんな会社でもできるインナーブランディング」(セルバ出版)。「人が集まる中小企業の経営者が実践しているすごい戦略 採用ブランディング」(WAVE出版)

  • PAGE-TOP