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レポート

2025.09.23

採用の要。求職者をファンにする

少子化や採用市場の流動化で、単に人を集めるだけでは企業の持続的成長は難しくなっています。求職者が企業や現場のファンとなり、入社前から応援したいと思える環境をつくることが、採用力や定着率向上に直結します。

今や給与や待遇だけでなく、理念やリアルな現場の雰囲気、透明性など、多面的な魅力が選ばれる時代です。

本記事では、求職者をファンにするための特徴や現場での具体的な取り組み、継続的なブランド構築の視点を整理します。

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求職者がファンになる企業の特徴

求職者が「この会社で働きたい」と感じる企業には共通した特徴があります。理念や現場の声、情報の開示方法まで、現場の納得感が伝わる工夫が求められています。

以下では、ファン化のために重視すべきポイントを具体的に整理します。

理念やビジョンの明確な発信

経営理念やビジョンを具体的な言葉で発信する企業は、求職者からの共感を集めやすいです。たとえば「地域の役に立ちたい」「挑戦を歓迎する風土」など、組織の価値観が明確な企業では、説明会やWebサイトでトップや社員が自ら言葉で語っています。

単なるスローガンではなく、実際に現場で理念が行動に反映されている事例が多いほど、求職者が「ここで働きたい」と感じやすくなります。

現場のリアルな声やエピソード

求職者がファンになる企業は、現場社員の声や実体験を積極的に公開しています。社内インタビューや社員の日常をSNSや採用サイトで紹介する企業が増えています。

あるIT企業では若手社員が自分の入社理由や仕事での成長を率直に語り、求職者の共感を集めました。リアルな声を届けることで、働く現場のイメージが具体的になり、求職者の安心感や期待感が高まります。

体験機会やオープンな情報開示

実際の仕事や職場の雰囲気を体験できる企業は、求職者のファン化が進みやすいです。インターンシップや現場体験会、オンライン職場ツアーなどを用意し、疑問点を率直に質問できる機会を設けています。

製造業での一日職場体験や、飲食チェーンの現場参加型説明会などが好評です。情報を積極的に公開し、現場の実態や文化を体感させる姿勢が信頼や応募意欲につながります。

ファン化につながる求職者対応のステップ

求職者をファンにするためには、エントリー前から選考過程まで、各段階で具体的な取り組みが必要です。以下では、それぞれのステップで意識すべき対応や実践例を解説します。

エントリー前の認知・共感づくり

求職者が自社を知り、興味を持つには、分かりやすい情報発信やブランディングが重要です。たとえば採用ページに社員インタビューや社風を紹介し、理念や強みを具体的に伝えます。

SNSで日常の仕事やイベント風景を公開し、働く人のリアルな様子を伝える工夫も有効です。単なる募集要項ではなく、共感を呼ぶ発信が応募への第一歩となります

説明会・面接時の体験設計

説明会や面接では、求職者が職場の雰囲気や仕事の進め方を体感できる場を作ることが効果的です。グループワークや現場社員との対話、実際の職場案内などを積極的に取り入れます。

小売業で説明会時に社員が自身の業務を具体的に説明し、その後現場見学を行う企業もあります。こうした体験型の設計が「ここで働きたい」という気持ちを高めます。

選考過程でのコミュニケーションと期待形成

選考の各段階で丁寧なフィードバックや情報提供を行うことで、求職者の安心感や信頼が高まります。合否連絡だけでなく、今後の流れや職場の特徴、活躍事例を具体的に説明します。

あるベンチャー企業では面接後に個別フィードバックや質問会を設け、入社後のイメージが明確になり、内定承諾率が向上しました。期待に応える対応がファン化の決め手となります。

これからの採用に必要な「ファン視点」

これからの採用に必要な「ファン視点」

これからの採用活動では、求職者を単なる応募者と見なさず、入社前から関心・共感・期待を高めることが不可欠です。理念や現場の声、体験機会や丁寧な対応を重ねることで、求職者が企業のファンとなり、長期的な採用力や組織の安定につながります。

ファン視点を持った採用活動こそ、今後のブランド価値を高める新しい基準となります。

弊社のインナーブランディング事例はこちらをご確認ください。】

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深澤 了 Ryo Fukasawa
むすび株式会社 代表取締役
ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター

2002年早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。2015年早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年むすび設立。地域ブランディングプロジェクト「まちいく事業」を立ち上げ、山梨県富士川町で開発した「甲州富士川・本菱・純米大吟醸」はロンドン、フランス、ミラノで6度金賞受賞。制作者としての実績はFCC(福岡コピーライターズクラブ)賞、日本BtoB広告賞金賞、山梨広告賞協会賞など。雑誌・書籍掲載、連載多数。著書は「無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング」(幻冬舎)、「知名度が低くても“光る人材“が集まる 採用ブランディング完全版」(WAVE出版)。「どんな会社でもできるインナーブランディング」(セルバ出版)。「人が集まる中小企業の経営者が実践しているすごい戦略 採用ブランディング」(WAVE出版)

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