
求人を出しても応募が来ない。面接に来た人と価値観が合わない。内定を出しても辞退されてしまう。こうした採用の悩みを抱える企業の多くは、「自社の魅力が応募者に伝わっていない」という共通課題を持っています。
なぜ伝わらないのか。その一因は、自社の価値観や文化、経営者の想いが言語化されていないからです。表面的な条件や制度だけでは、本当の魅力は伝わりません。
採用活動における「見える化」の効果
採用活動における「見える化」は、単なる情報整理にとどまりません。企業の「採用力」や「定着率」に直結する重要なステップです。
どんなに魅力的な文化や理念があっても、それが言葉になっていなければ応募者には伝わりません。ここでは、「見える化」がもたらす具体的な効果について紹介します。
共感を呼ぶ言葉で応募者に届く
採用ブランドが言語化されていない企業は、「何となく良さそうだけど決め手に欠ける」という印象を与えてしまいがちです。逆に、理念や価値観がしっかり伝わると、応募者の納得感が増し、「この会社に入りたい」という動機が強まります。
応募者が数社の内定先を比較する中で、心に残る言葉やストーリーがある企業はやはり有利です。企業の考えや価値観が曖昧だと、記憶にも印象にも残りません。言葉の芯を明確にすることで、「この会社で働く理由」が応募者自身の中に芽生えるのです。
面接のミスマッチを減らし、定着率も向上
自社らしさを明文化しておくことで、面接時の共通認識が形成されやすくなります。企業と応募者の価値観がズレていれば、早期離職につながりかねません。「どんな人と一緒に働きたいのか」「どんな組織文化があるのか」を事前に伝えることで、ミスマッチを防ぐことができます。
また、現場社員と経営層の間でも価値観の共有が生まれやすくなり、採用以外の領域にも波及効果が期待できます。採用から定着、育成に至るまでの一貫性が、企業としてのブランドをより強固にします。
社内浸透・理念共有にも活用できる
経営者の言葉が整理され、形になった言語群は、採用だけでなく社内での理念浸透にも役立ちます。幹部・現場の判断軸を揃えるためのツールとして、研修や1on1の場でも活用可能です。
特に、現場と経営層の「感覚のズレ」が組織課題となっている場合、言語化された理念を共通言語として共有することで、対話のきっかけが生まれます。日々の行動や判断にブランドが根づけば、企業文化としての一貫性が醸成されていきます。
無名企業ほど、ブランドの明文化が武器になる
大企業であれば、知名度だけで応募が集まることもあります。しかし中小企業・ベンチャー企業では、社名を知らない人に「なぜこの会社なのか」を伝える必要があります。そのためには、制度やレクリエーションの紹介よりも前に、自社の軸をはっきりさせなければなりません。
たとえば「田植えをしました」「スノボに行きました」という社内イベントも、それをなぜ行うのか、どんな価値観に基づいているのかを伝えなければ、単なる“アピール”で終わってしまいます。見える化は、そうした取り組みに意味とストーリーを与えるための第一歩です。
また、応募者にとっては「見られる情報が整っている会社=準備されている会社」という印象につながります。ブランディングは情報発信の積み重ねですが、その最初の設計図こそが、見える化によって得られる価値です。
むすびが提供する「見える化診断」
見える化診断は、1〜2時間の社長インタビューを通じて、経営者の価値観・信念・創業の背景などを言語化し、採用活動の軸となる”ブランドの芯”を明らかにするものです。
実施内容は以下の5ステップで構成されます。
- 診断サマリー(要約)
「この会社の思想は、○○である」という一言キャッチを含む1行要約を作成。 - 要素語り(3〜5行)
経営の背景や信条、会社として大切にしている価値を整理した短文を提示。 - 行動指針・哲学キーワード
応募者に伝えたい価値や行動様式を、「○○精神」「○○視点」などのキーワードで可視化。 - 採用ストーリー(抜粋)
なぜこの会社に入るのか。入社後どう活躍できるのか。を言語化。 - 診断者のコメント(希望があれば)
今後の打ち手や採用ブランド形成の方向性を提案。
これらを実施することで、ブランドが見える化され、理念や価値観が伝わりやすくなります。
採用の第一歩は「自社を言語化すること」
採用は、「自社をどう語るか」で決まる時代です。待遇や職種の条件だけでは、もはや人は集まりません。「この会社だから働きたい」と思ってもらうには、自社の価値観を明確に伝える必要があります。
採用ブランド見える化診断は、社長の想いという原石を、採用の言葉に磨き上げるサービスです。応募者だけでなく、社内の認識も揃える「経営効率を高めるツール」として、ぜひ活用してみてください。
組織の土台づくりから採用の成果までを一気通貫で支えるこのサービスは、「人を惹きつけ、育て、残す」ための重要な一歩となります。
見える化診断の相談については、お問合せください。

深澤 了 Ryo Fukasawa
むすび株式会社 代表取締役
ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター
2002年早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。2015年早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年むすび設立。地域ブランディングプロジェクト「まちいく事業」を立ち上げ、山梨県富士川町で開発した「甲州富士川・本菱・純米大吟醸」はロンドン、フランス、ミラノで6度金賞受賞。制作者としての実績はFCC(福岡コピーライターズクラブ)賞、日本BtoB広告賞金賞、山梨広告賞協会賞など。雑誌・書籍掲載、連載多数。著書は「無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング」(幻冬舎)、「知名度が低くても“光る人材“が集まる 採用ブランディング完全版」(WAVE出版)。「どんな会社でもできるインナーブランディング」(セルバ出版)。「人が集まる中小企業の経営者が実践しているすごい戦略 採用ブランディング」(WAVE出版)