採用ブランディング

2026.03.25

なぜ採用からではなく企業から見直したのか|採用ブランディング成功事例

採用に困っている企業ほど、「採用のやり方」に目を向けがちです。媒体を変える、広告を増やす、採用広報を強化する。しかし、それでも結果が出ない企業は少なくありません。

本記事では、採用に多額の費用をかけながら成果が出ていなかった企業が、なぜ採用ブランディングに成功したのかを整理します。

ポイントは、採用から始めるべきか、それとも企業の土台から整えるべきかという判断にあります。

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企業ブランディングと採用ブランディングの違い

ブランディングには大きく分けて「企業ブランディング」と「採用ブランディング」があります。この違いを正しく理解していないと、取り組みの順序を誤ります。

企業ブランディングは、理念を定め、戦略を描き、それを社内外にどう浸透させるかを設計するものです。HPや広報、各種制作物を通じて、企業としての一貫した価値を社会に伝えていきます。

一方、採用ブランディングは、採用に特化したブランディングです。必ずしも明文化された理念がなくても、現場にある価値観や想いを整理し、求職者に対してどう伝えるかを設計します。

採用ブランディングは短期で結果が出やすい

採用ブランディングは対象範囲が限定されているため、比較的短期間で結果が出やすい特徴があります。

強みを整理し、ペルソナを設定し、その人に響くコンセプトを設計することで、採用成果に直結します。一方で企業ブランディングは、組織全体に関わるため、成果が出るまでに時間がかかります。場合によっては、1年から2年かけてようやく財務面に変化が表れることもあります。

採用から始めるという判断も合理的である

今回の企業も、当初は採用から改善すべき状況にありました。年商10億規模でありながら、採用に年間数千万円規模の投資をしても人が採れない。それを2年間続けている状態でした。

店舗の業績は好調で、出店余地もある。しかし人がいないために店舗を増やせず、事業の成長が止まりかけていました。

採用が経営課題になっていた

この状態は、人事の問題ではなく明確な経営課題です。人が採れなければ、事業は拡大できません。

本来であれば、採用ブランディングから着手し、短期的に採用を改善するという判断も合理的です。実際にそのような提案も検討されていました。

それでも企業の土台から着手した理由

この企業が最終的に選択したのは、採用ではなく企業ブランディングから始めるというアプローチでした。

採用がうまくいかないとき、多くの企業は採用手法に原因を求めます。しかし本質的には、企業として何を提供しているのか、どんな価値を持っているのかが明確でなければ、採用は機能しません。

採用はあくまで結果であり、その前提となるのは企業の土台です。この企業は、その構造を理解し、短期的な改善ではなく本質的な見直しを選択しました。

将来の成長を見据えた判断

この企業は上場も視野に入れていました。そのため、一時的に採用数を増やすことよりも、企業としての基盤を整えることが重要でした。

理念の整理強みの言語化組織としての一貫性の構築

こうした土台が整っていなければ、採用ができたとしても持続的な成長にはつながりません。

アプローチの順序が成功の秘訣となった

アプローチの順序が成功の秘訣となった

結果として、この企業は採用状況を改善し、成長を加速させていきます。その要因は、採用施策の巧さではなく、取り組みの順序にありました。

土台が整ったことで採用が変わった企業の理念や強みが整理されたことで、採用における発信や接点が変わりました。何を伝えるのか、どんな人に来てほしいのかが明確になったためです。その結果、企業に共鳴する人材が集まりやすくなりました。

採用はどこから始めるかで結果が変わる

採用ブランディングは、採用から始めることもできます。実際に短期的な成果を出すには有効な手法です。しかし、この事例が示しているのは、より重要なのは「どこから始めるか」という判断だということです。

採用から入るのか企業の土台から整えるのかこの選択によって、その後の結果は大きく変わります。今回の企業は、あえて遠回りに見える道を選びました。しかしその結果、採用だけでなく、組織全体の強さにつながる基盤を築くことができたのです。

採用に困っている企業ほど、一度立ち止まり、自社の土台を見直す。その視点が、採用ブランディングを成功に導きます。

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深澤 了 Ryo Fukasawa
むすび株式会社 代表取締役
ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター

早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年むすび設立。地域ブランディングプロジェクト「まちいく事業」を立ち上げ、山梨県富士川町で開発した「甲州富士川・本菱・純米大吟醸」はロンドン、フランス、ミラノで6度金賞受賞。制作者としての実績はFCC(福岡コピーライターズクラブ)賞、日本BtoB広告賞金賞、山梨広告賞協会賞など。学術論文7編(査読付き)。雑誌・書籍掲載、連載多数。著書は「無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング」(幻冬舎)、「知名度が低くても“光る人材“が集まる 採用ブランディング完全版」(WAVE出版)。「どんな会社でもできるインナーブランディング」(セルバ出版)。「人が集まる中小企業の経営者が実践しているすごい戦略 採用ブランディング」(WAVE出版)。国立大学法人富山大学とウェルビーイングに関する共同研究「幸福を超える共鳴」。2025年、新理論「共鳴経済」を日本マーケティング学会にて発表。

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