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2026.02.03

採用ブランディングを軸に内定承諾率を高めるには

採用ブランディングを軸に内定承諾率を高めるには

内定承諾率は、採用活動の中でも最も結果がはっきり出る指標です。ここが低いと、採用費は膨らみ、現場の稼働も増え、採用担当者は疲弊します。一方で、承諾率が上がると、同じ母集団でも採用が成立しやすくなり、翌年以降の採用コストや運用負荷が確実に下がります。

ただし、内定承諾率を「条件の勝負」だと捉えると、打ち手が待遇改善やオファー条件の微調整に偏りやすくなります。もちろん条件も要素の一つですが、最終的な意思決定を動かすのは、候補者側の納得感と共鳴です。

この記事では、内定承諾率を上げるための構造を6段階で整理し、実務に落とす視点まで含めて解説します。

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内定承諾率は6段階のプロセスで決まる

内定承諾率は「内定の瞬間」だけで決まるものではありません。承諾率は、最初の接点から意思決定までのプロセス品質の総和です。整理すると、次の6段階に落ち着きます。

  1. ヒアリング
  2. 伝える
  3. 社員との接点
  4. 本人と向き合う
  5. 具体接点
  6. 意思決定

6段階は共通、勝負は中身の設計

重要なのは、6段階そのものはどの会社にも共通していることです。差が出るのは、それぞれの段階で「自社なりのやり方」が確立されているかどうかです。

質問が浅い、伝える内容が散らかっている、会わせる社員が毎回違う、現場を見せない、決断の背中を押せない。こうしたズレが積み重なると、候補者は「悪くないけど決め手がない」という状態になり、承諾しません。

逆に言えば、各段階の設計が整うほど、承諾率は自然に上がっていきます。

内定承諾率の正体は「口説く力=共鳴させる力」

内定承諾率の正体は「口説く力=共鳴させる力」

内定承諾率は数字ですが、中身は極めて人間的な現象です。内定承諾率が高い会社は、条件だけで勝っているのではなく、候補者の意思決定に必要な納得を積み上げています。

言い換えるなら、内定承諾率とは口説く力であり、共鳴させる力です。

最終的な判断基準は「ここで働く理由が言語化できるか」

候補者は複数の内定を持っていることが多く、比較の土俵に乗るのが当たり前です。そのとき最後に残るのは、給与や休日の差よりも、「自分はなぜここを選ぶのか」を自分の言葉で語れるかどうかです。

会社側が口説くとは、強く押すことではありません。候補者が自分で納得を組み立てられるように、材料と体験を設計することです。

6段階を実務に落とすための要点

6段階を理解しても、現場で再現できなければ承諾率は変わりません。各段階で押さえるべきポイントを整理します。

ヒアリングは「情報収集」ではなく「意思決定の地図づくり」

ヒアリングで重要なのは、経歴をなぞることではありません。候補者の価値観、意思決定の癖、譲れない条件、迷いポイントを把握し、承諾に必要な論点を先に見立てることです。

承諾率が低い会社ほど、ヒアリングが雑で、最後になって「どこが不安だったのか分からない」という状態になります。

伝えるは「強みの説明」ではなく「あなたに合う理由の提示」

会社の魅力を語るだけでは口説けません。候補者が自分事として受け取れる形に翻訳して初めて刺さります。

同じ強みでも、誰にどう伝えるかで価値が変わります。伝える内容は、ヒアリングと必ず連動させる必要があります。

社員との接点は「安心」と「具体化」をつくる

候補者は会社そのものより、「一緒に働く人」を見ています。誰と会うか、どんな話をしてもらうかで、承諾率は大きく変わります。

ここは偶然に任せず、候補者の不安や関心に合わせて会わせる社員を設計することがポイントです。

本人と向き合うは「不安の解消」ではなく「覚悟の形成」

本音で迷っているポイントは、候補者が自分から言わないことも多いです。向き合う段階では、表面的な不安を潰すだけでなく、候補者の人生観やキャリア観に踏み込み、意思決定の覚悟をつくる会話が求められます。

具体接点は「想像」を「体感」に変える

工場見学、店舗見学、現場同行、社長との対話など、具体接点は承諾率に直結します。

承諾しない理由の一つは、働くイメージが持てないことです。具体接点は、その曖昧さを一気に解消します。

意思決定は「押す」ではなく「決めるための整理」

クロージングは、強い言葉で迫る場ではありません。候補者が比較している軸を整理し、迷いの構造を言語化し、決めるための材料を揃える場です。

ここで必要なのは、最後の一押しではなく、最後の納得です。

ケーススタディが内定承諾率に強い理由

内定承諾率を上げる手段は複数ありますが、その中でも汎用性が高いのがケーススタディです。ケーススタディは、候補者の理解と共鳴を同時に深めやすい手法です。

ケーススタディの利点は「採用フロー全体に効く」こと

ケーススタディの強みは、使い方の幅が広いことです。ヒアリングの材料にもなるし、伝える段階での具体例にもなるし、社員との接点づくりにも使えます。

さらに、時間を選ばず、人数を選ばずに運用できるため、採用担当者や現場の負担を増やさずに実装しやすい特徴があります。

会社理解が一気に深まる理由

ケーススタディは抽象的な理念や方針ではなく、具体的な仕事や判断、葛藤、成功の過程を伝えられます。これにより候補者は「この会社で働く自分」を想像しやすくなります。

理解が深まると、共鳴が起きやすくなり、意思決定の迷いが減ります。結果として承諾率が上がります。

承諾率を上げる鍵は「型」と「再現性」

内定承諾率は、個人の営業力だけで上げ続けることはできません。大事なのは、6段階の型を持ち、誰がやっても一定の品質で実行できる状態にすることです。

各段階で自社なりのやり方を確立し、それを実行できる人を増やす。ここまでできて初めて、承諾率は安定して上がっていきます。

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深澤 了 Ryo Fukasawa
むすび株式会社 代表取締役
ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター

2002年早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。2015年早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年むすび設立。地域ブランディングプロジェクト「まちいく事業」を立ち上げ、山梨県富士川町で開発した「甲州富士川・本菱・純米大吟醸」はロンドン、フランス、ミラノで6度金賞受賞。制作者としての実績はFCC(福岡コピーライターズクラブ)賞、日本BtoB広告賞金賞、山梨広告賞協会賞など。雑誌・書籍掲載、連載多数。著書は「無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング」(幻冬舎)、「知名度が低くても“光る人材“が集まる 採用ブランディング完全版」(WAVE出版)。「どんな会社でもできるインナーブランディング」(セルバ出版)。「人が集まる中小企業の経営者が実践しているすごい戦略 採用ブランディング」(WAVE出版)

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