
経済という言葉は、利益や成長、効率といった文脈で語られることが多いものです。ただ、共鳴経済という考え方に立つと、経済の定義そのものが少し変わって見えてきます。
経済とは、人をより幸せにするためのシステムであり、その中核にあるのは「人と人との関係性」です。
この記事では、共鳴経済の視点から、なぜ企業成長に「推し」や「理念共感」が重要になるのか、そしてそれが採用とどう結びつくのかを整理します。
経済を「人を幸せにするシステム」と捉え直す
経済を単なるお金の循環や取引の仕組みとして見ると、企業活動はどうしても効率や規模の競争に偏りがちになります。一方で、経済を「人をより幸せにするシステム」と捉え直すと、企業が向き合うべき対象は数字だけではなく、人の感情や関係性であることが見えてきます。
共鳴経済は、この視点に立ち、共感や共鳴が価値を生み出す状態を重視します。人が誰かや何かを応援したくなる状態、いわゆる「推し」の感覚が生まれると、その関係性は長期的で強いものになります。
共鳴が重なることで企業は強くなる
共鳴経済において重要なのは、単一の関係性ではなく、複数の関係性が重なり合うことです。会社と従業員、従業員と顧客、顧客と会社。この三者の関係性がそれぞれ共鳴している状態になると、企業は外部環境に左右されにくい強固な基盤を持つようになります。
この状態は、広告やキャンペーンによって一時的に作れるものではなく、日々の働き方や意思決定の積み重ねによって形成されます。
従業員の「推し」はお金を必要としない
共鳴経済の中で、特に誤解されやすいのが「推し=お金がかかるもの」という認識です。一般的な推し活では、ファンは時間やお金を使って対象を応援します。
しかし、従業員が会社を推す状態は、構造がまったく異なります。
楽しく働くこと自体が共鳴になる
従業員は会社にお金を払う必要はありません。むしろ、会社が報酬を支払う側です。それでも共鳴が生まれるのは、仕事そのものに意味や納得感があり、楽しく働けているからです。
会社を推すという行為は、特別な追加コストを必要としません。ただ、前向きに働き、周囲に良い影響を与えてくれるだけで、共鳴は自然と広がっていきます。
そう考えると、従業員との共鳴関係をつくることは、構造的には決して難しい話ではないと言えます。
理念共感は採用時から連続している

理念共感は、入社後に突然生まれるものではありません。採用時に理念へ共感している人は、入社後も理念に共感し続けやすい傾向があります。採用時の状態と現在の状態には、明確な相関関係が存在します。
理念共感が感動経験を生む
理念に共感している状態は、組織に対する感動経験を得やすくします。この感動は、やりがいや意味づけと直結します。
さらに、理念共感がある人ほど、自分の仕事が組織に貢献しているという実感を得やすく、実力を発揮できていると感じやすい傾向があります。
個人の成果だけでなく、組織全体への貢献意識とも強く結びついています。
人生の使命と理念共感の関係
理念共感は、仕事の満足度だけでなく、人生観にも影響を与えます。現在理念に共感している人ほど、自分の人生の使命を見つけやすいというデータもあります。
重要なのは、いまの理念共感が最も強い状態であることですが、その入口は採用時にあります。採用時にどのような共鳴状態をつくれるかが、その後の成長や活躍を左右します。
採用で共鳴をつくることが、その後を決める
採用時に共鳴状態をつくることは、入社後の共鳴、そして共鳴状態で活躍することへとつながります。採用は単なる人材確保ではなく、共鳴経済圏への入口です。
フリーランス時代の組織設計
今後、フリーランスや複業人材はさらに増えていきます。仕事を選べる立場にある人が増える中で、企業は「雇用」だけを前提にした組織設計では成長できません。
そこで重要になるのが、理念で人が集まるコミュニティという発想です。会社に所属しているかどうかに関わらず、価値観や理念でつながり続けられる関係性をつくることが、これからの組織には求められます。
これからの採用は共鳴経済が必須
共鳴経済の視点に立つと、経済とは人を幸せにするための仕組みであり、その中心にあるのは人の共鳴です。従業員が会社を推す状態は、お金をかけてつくるものではなく、日々の仕事や理念への共感から生まれます。
採用時の理念共感は、入社後の活躍ややりがい、人生観にまで影響を与えます。だからこそ、採用の場で共鳴状態をつくることが、企業の持続的な成長と共鳴経済圏の形成につながっていきます。

深澤 了 Ryo Fukasawa
むすび株式会社 代表取締役
ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター
2002年早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。2015年早稲田大学ビジネススクール修了(MBA

