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レポート

2020.02.20

本菱と経営とブランディング。

甲州富士川・本菱・純米大吟醸の2020がもうすぐ出来上がります。これを復活させるプロジェクト「まちいくふじかわプロジェクト」は5年目。本菱は4回目の復活となります。思えば、少しずつあゆみを進めてきました。まずはじめはなにもないところから。2年目は酒屋さんに置けるようになり、海外賞(ロンドン酒チャレンジ2018銀賞、インターナショナル・ワイン・チャレンジ2018入賞)を受賞、地元の老舗、いち柳ホテルさん開発のアイスにもなり、ブランドを派生させました。3年目はロンドンとフランスで金賞を獲得。これもまた地元の老舗和菓子店、松月堂さんによって、まんじゅうにもなりました。

こんな出来上がったばかりの酒が、海外で評価されるまでになるということは、造ってくれている萬屋醸造店の技術、そして多くの皆さんの応援の後押しを思わずにはいられません。そしてブランドが派生していくということは、徐々にブランドが浸透し、愛されてきた証拠でもあります。そして4年目。今年のしぼりたてを飲む限り、これまでで最高峰の本菱ができたと思っています。今年はどんな展開をしてくれるのか、今からとても楽しみです。

また、昨年から富士川町と行っている、山梨県唯一の桜の名所百選、大法師公園への桜オーナーのクラウドファンディングは、今年も直接の支援を含めると100万円を超えました。

これらの事業は、地域活性にブランディングを応用する、という発想から来ています。クライアントワークではなく、完全に自分たちが事業主体になることで、クライアントワークに必ず活かされるし、ブランディングだけでは見えない課題を発見し、ブランディング自体を進化させることになると考えています。

よく「流通は古い」といいますが、それを体感することは、業界内にいなければなかなかわからないことでしょう。しかし私たちは日本酒というおそらく日本で一番古い業界での流通の壁を味わっています。「ストーリーが大事」とは、マーケティングの界隈にいる人達では数年前、いや十数年前から常識ですが、流通はそんなことはあまり関係ありません。よく取材で「ブランディングが詰まっていますね!」と言われますが、流通関係のみなさんには、ストーリーはあまり重要ではないようです。私たちがお客様のみなさまと接している印象とはずいぶんと大きく印象が異なります。

経営とは、こうした実際の一つひとつの壁を乗り越えていく作業なのだと思います。しかしこうした壁をなんとか回避しようと、例えば予算があれば、数多く生産し、コストを抑え、なるべく安い本菱にしようとするでしょう。しかし、そんなことをすれば、ブランド・ビジョン、根幹はどんどん一貫性を失っていくことになります。一貫性を保ちながら、どうしたら実際の経営で訪れる壁を正面から超えていけるか。それはまさにブランディングの進化を考えることにほかならない、と思っています。そして私自身の経営者としてのセンスも磨いていただいているように思います。

この学びを理論に昇華し、数多くの企業に役立てたい。そう思います。それはこのむすびという会社をつくった「ブランディングを企業経営のインフラにしたい」という想いそのものだからです。

(深澤)

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