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レポート

2026.04.10

強みは「量」で見つかる採用ブランディング成功事例

強みを言語化するワークは、多くの企業で「やっているつもり」で終わりがちです。付箋を使って整理し、なんとなくまとまった気になってしまいます。

しかし実際には、そこから採用につながる精度まで落とし込めているケースは多くありません。今回ご紹介する企業も、決してワークが得意な組織ではありませんでした。それでも最終的に採用ブランディングとして機能するレベルまで強みを整理できたのは、「やり方」ではなく「進め方」にこだわったことが大きな要因でした。

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ワークがうまく進まない状態からのスタート

ヒアリング後に実施したのは、強みを整理するためのワークです。しかし、一般的なワークの進め方がそのまま通用する状態ではありませんでした。

幹部メンバーは全員が現場出身で、いわゆるワークショップ形式に慣れているわけではありません。付箋に書いて整理する、グルーピングする、といったプロセス自体が初めてに近い状態でした。

付箋が出てこないという壁

実際にワークを始めると、想定していた以上に付箋が出てきませんでした。事前に宿題として考えてもらっても出てこない。その場で時間をとっても手が止まってしまう。この段階では、正直なところ本当に形になるのかという不安もありました。

ワーク自体がリスケになることもあり、スムーズに進んでいるとは言えない状況でした。

成果が見えにくいプロセスをやりきる

企業ブランディングの段階では、手応えを感じにくい状態が続きました。言葉が出てこない、整理できない、まとまらない。この状態が続くと、プロジェクト全体への不安も大きくなります。

しかし、採用ブランディングのフェーズに入る頃には、整理された内容が具体的な活用イメージにつながり始め、初めて安心感が出てきました。

むすびが重視したのは「量を出し切ること」

むすびが重視したのは「量を出し切ること」

このワークで最も重要視したのは、最初から質の高い答えを出すことではありません。とにかく量を出し切ることに徹底してこだわりました。

強みの整理においては、少ない情報から正解を導こうとするほど、主観や思い込みに引っ張られやすくなります。そのため、まずは材料を増やすことが必要になります。

何がなんでも思考させる

どうしても付箋が出てこないときは、一定の時間を区切って考えてもらう方法を取りました。10分考える、それでも出なければさらに10分延長する。

この繰り返しによって、「出ない状態」を突破していきます。最初は止まっていても、時間を重ねることで少しずつ言葉が出てくるようになります。

妥協せず付箋の枚数にこだわる

このワークで特に重視したのが、付箋の枚数です。一人あたり最低でも7〜8枚は出すことを前提に進めました。

付箋が少ない状態でまとめてしまうと、議論の材料が不足し、正しい整理ができません。逆に、十分な量がある状態であれば、その中から共通点を見つけることができます。

付箋の量がそのまま精度につながる理由

強みの整理においては、最初から正解を見つけることはできません。複数の視点やエピソードを重ねることで、初めて自社らしさが見えてきます。そのため、材料の量がそのまま精度に直結します。

少ない情報では判断ができない

例えば付箋が10枚しかない状態では、それが本当に自社の強みなのかを検証することができません。サンプルが少ないため、偶然出てきた意見なのか、共通認識なのかの判断がつかないからです。

この状態でまとめてしまうと、ズレた方向に進んでしまうリスクが高くなります。

量が増えることで共通点が見えてくる

一方で、100枚近い付箋が出てくると状況は大きく変わります。

・似た内容が複数出てくる
・特定のテーマに集中する
・自然とグループ分けができる

このように、意図せず共通点が浮かび上がってきます。この状態になって初めて、「これが自社らしさだ」と言える材料が揃います。

採用につながる強みは「量の先」にある

今回の事例で重要だったのは、最初からうまく進んでいたわけではないという点です。むしろ、出てこない、まとまらないという状態を前提に、それでも量を出し切ることにこだわり続けたことが結果につながりました。

採用ブランディングで使える強みは、最初からきれいな形で存在しているわけではありません。現場の中に散らばっているエピソードや言葉を集め、それを整理していくプロセスが必要です。

この企業は、そのプロセスを途中で止めずにやり切ったからこそ、採用でも使える強みを見つけることができました。

深澤 了 Ryo Fukasawa
むすび株式会社 代表取締役
ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター

早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年むすび設立。地域ブランディングプロジェクト「まちいく事業」を立ち上げ、山梨県富士川町で開発した「甲州富士川・本菱・純米大吟醸」はロンドン、フランス、ミラノで6度金賞受賞。制作者としての実績はFCC(福岡コピーライターズクラブ)賞、日本BtoB広告賞金賞、山梨広告賞協会賞など。学術論文7編(査読付き)。雑誌・書籍掲載、連載多数。著書は「無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング」(幻冬舎)、「知名度が低くても“光る人材“が集まる 採用ブランディング完全版」(WAVE出版)。「どんな会社でもできるインナーブランディング」(セルバ出版)。「人が集まる中小企業の経営者が実践しているすごい戦略 採用ブランディング」(WAVE出版)。国立大学法人富山大学とウェルビーイングに関する共同研究「幸福を超える共鳴」。2025年、新理論「共鳴経済」を日本マーケティング学会にて発表。2026年「共鳴経済 社員が”推す”会社が伸びる」(サンクチュアリ出版)を刊行。

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