【建設】江口組:高卒採用の限界を「間口」で突破。土木の魅力を再定義した江口組の採用ブランディング事例
石川県小松市の建設会社・江口組は、採用ブランディングで自社の強みを言語化し、採用の「間口」を広げました。その結果、これまで接点のなかった商業高校出身の女性施工管理職や県外学生の採用につながっています。ここでは、その取り組みの中身と効果を紹介します。
目次
- 毎年2〜3名は採れている。それでも危機だった理由
- 大卒採用に投資しても成果が出なかった原因
- やったこと1:社員8人で自社の強みを言語化する
- やったこと2:「土木のイメージ」を話し合い、間口を再設計する
- 効果:商業高校の女性施工管理職、県外学生の採用へ
- この事例からわかること
- よくある質問(FAQ)
毎年2〜3名は採れている。それでも危機だった理由
採用が回っているうちに手を打たなければ、数年後には立ち行かなくなる。それがこの取り組みの出発点でした。
江口組は、現場作業ではなく施工管理(現場監督)を担う従業員36名の建設会社です。採用は高卒がメインで、毎年2〜3名を確保できていました。地元の工業高校との関係づくりや、地域のお祭り・除雪といった活動を通じて知名度を高め、採用につなげてきたのです。
ところが、その前提が崩れ始めていました。工業高校の土木・建設系は3年連続で定員割れ。進学する生徒が増え、高卒で働く人そのものが減っています。1人の生徒に約20件の求人が集まる、20倍近い争奪戦です。今は2〜3名を維持できても、いずれ採れなくなる。その危機感が、採用ブランディングに取り組むきっかけでした。
「まだ採れている」うちに手を打つ。それが採用ブランディングの正しいタイミングです。
https://www.musubi-inc.co.jp/musubi-contact
大卒採用に投資しても成果が出なかった原因
課題は、高卒採用の先細りに備えた大卒採用でした。しかし、過去の挑戦は苦い結果に終わっていました。
同社は2016年頃から5年ほど大卒採用に取り組み、相応の費用を投じてきましたが、入社に至ったのは1名。求人媒体や費用の問題ではなく、「誰に、何を、どう伝えるか」が定まっていなかったのです。同時に、Facebook黎明期からSNSを活用してきた同社は、そこで発信してきた自社の強みや思いが本当に正しいのか、ブランディングの観点から見直したいという思いも持っていました。「土建屋」「3K」というイメージを変え、土木の魅力を伝えたい。この2つの課題が重なって、取り組みが始まりました。
やったこと1:社員8人で自社の強みを言語化する
採用ブランディングではまず、社長と従業員あわせて8名でワークショップを行い、自社の強みを徹底的に言語化しました。
出てきた付箋の数は、そのまま会社の財産です。社内では「あの付箋はSNSのネタ探しでも使えるキーワードの宝庫だ」という声も生まれました。自分たちの強みを具体的な言葉に落とすと、採用メッセージだけでなく、日々の発信にも一貫した軸が通ります。こうしてたどり着いた採用スローガンが「創業100年、やってみよう、変えればいい。」でした。大正10年創業、2021年で100年を迎えた歴史を土台に、新しいことへ挑戦し続ける社風を一言に凝縮しています。
やったこと2:「土木のイメージ」を話し合い、間口を再設計する
ワークショップで生まれた最大の変化は、採用ターゲットの「間口」を広げる判断でした。
「土木のイメージを一度みんなで話そう」というテーマから、社員たちは「学科や属性を問わず、もっと幅広く受け入れよう」という結論にたどり着きます。これまで訪問していなかった商業高校へも足を運ぶようになりました。属性で絞るのをやめ、「育てる前提で間口を広げる」方針へと採用の設計そのものを見直したのです。
効果:商業高校の女性施工管理職、県外学生の採用へ
間口を再設計したことで、これまで接点のなかった層からの採用が実現しました。
商業高校から「施工管理をやりたい」という女子生徒が現れ、入社に至ります。25卒では3名を採用し、うち1名がこの商業高校出身の女性です。さらに県外である愛知県の高校生1名が、長年続けてきたSNSの発信を見て「この会社に入りたい」とエントリーしました。採用数を確保しただけでなく、「採ったら育てなければ」という育成意識もチームに芽生えています。積み重ねてきた発信が、採用の成果として実を結んだ事例です。
自社の強みの言語化から採用への実装まで、むすびが伴走します。
https://www.musubi-inc.co.jp/musubi-contact
この事例からわかること
母集団が縮小する業界では、「どう集めるか」の前に「どこまで間口を広げられるか」と「自社の強みをどう言語化するか」が成果を分けます。決裁者を交えて強みを言語化し、採用の設計を見直すことで、これまで想定しなかった層とつながる。江口組の事例は、採用ブランディングが母集団づくりの発想そのものを変えることを示しています。
よくある質問(FAQ)
Q. 高卒採用が回っているのに、なぜ見直しが必要だったのですか。
A. 工業高校の土木・建設系が3年連続で定員割れし、進学志向も強まっているためです。今は毎年2〜3名を確保できても、母集団そのものが縮小しており、数年後には採れなくなる可能性が高い状況でした。
Q. 過去の大卒採用はなぜうまくいかなかったのですか。
A. 求人媒体や費用の問題ではなく、「誰に、何を、どう伝えるか」が定まっていなかったためです。5年ほど投資しても入社は1名にとどまりました。
Q. 採用スローガン「創業100年、やってみよう、変えればいい。」はどう生まれたのですか。
A. 社長と社員8名のワークショップで自社の強みを言語化する過程から生まれました。外から与えたのではなく、社内の言葉を掘り起こしてたどり着いたスローガンです。
Q. どんな成果が出ましたか。
A. 25卒で3名を採用し、うち1名は従来接点のなかった商業高校出身の女性施工管理職、1名は県外の学生がSNS発信を見て入社しました。採用の間口が広がり、育成意識も芽生えました。
Q. 建設業以外にも応用できますか。
A. できます。母集団が縮小する業界ほど、「間口をどこまで広げられるか」と「自社の強みをどう言語化するか」が鍵になります。詳しくはお問い合わせください。